漫画探訪5 アンパンマン分析5 主題歌の歌詞に見られる原作者の思想

 原作者の思いが端的に表れているのが、お馴染みの「アンパンマン」のテーマソングの歌詞です。人間何もしないでは、目的を持たなければ、人生に空しさを覚えるだけであり、アンパンマンも人生の意味を見つけるために行動するのです。困った人を助け、人のために尽くすことで、生きる喜び、充実した生が味わえると言っています。愛と勇気が友達の、正義の味方の主人公ですが、安っぽいヒーローでないことは、胸の傷が痛むなどという表現があることでも明らかですし、胸の傷が痛みもするアンパンマンは、光と影をあわせもった実に人間的な存在です。人を助けることは自己犠牲を伴うことであり、自分自身、無傷ではいられませんし、そもそも生きていく以上、喜びだけでなく、苦しさも辛さも味わわなければならないのです。
 この歌詞からは無常観もうかがえ、時間も早く過ぎることや星が消滅することまで入っています。時間は刻一刻と過ぎて行き、人の一生もまたたくうちに終わってしまうという仏教的な無常観です。しかし、そういう人生だからこそ、一瞬一瞬を惜しんで、大切に生きていかねばならないと作者は主張しているのです。
 人生には数々の困難が待ち受けていますが、それに負けることなく乗り越えてゆかねばなりません。そういう意味で言えば、バイキンマンは病気だけでなく、数々の困難、障害の象徴とも言え、それをはねのけ、克服することによって人間は成長してゆくのです。アニメでは毎回、アンパンマンがバイキンマンを最後にやっつけるというパターンの繰り返しに過ぎませんが、これを人の一生というスパンで見れば、一つ一つ困難を乗り越えてゆくことで、少しずつ成長していき前進しているわけであり、堂々巡りではないのです。
「アンパンマン」はあくまで人間のドラマです。そのことに改めて気づかされたのは、生徒が書いてくれたレポートです。チーズ以外のキャラクターは二本足で歩いていると指摘してくれていましたが、言われて見れば、確かにその通りです。もっとも、チーズが四本足ということで、犬が人間に及ばない下等な存在であることを表しているのだとその生徒は言っていますが、そこまで言えるかどうかについては、私自身、疑問があります。しかし、チーズがなぜ犬の姿で現わされているのか、なぜチーズだけが四本足なのかは、今後、研究してみる余地があります。
 他のキャラクターは二本足であり、いろいろな食べ物やモノを元にしているとは言え、人間を念頭に置いた存在であり、作者はこの物語を通して人間のあり方を示しているのです。 

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