漫画探訪7 手塚治虫「アトムの哀しみ」

 6月のプログで以前に書いた「アンパンマン分析」を紹介しましたが、手塚治虫分析についても紹介してゆきたいと思います。
 手塚治虫分析を行うようになったきっかけは、以前勤めていた工業高校の国語の授業で手塚治虫が書いた文章「アトムの哀しみ」を取り扱ったのがきっかけでした。その文章が教科書に載っていたのですが、その中で手塚治虫は、彼の代表作である「鉄腕アトム」の世界は科学文明が人類と繁栄をもたらすという明るい未来社会を描いたものではなく、科学に頼り過ぎた人類の未来が危険なものであることを警告した作品であると述べています。アトム自身も決して明るいキャラクターではなく、ロボットと人間の間で板ばさみになって苦しむ姿を描いているとも作者は言います。アトムが人間の世界に溶け込もうとすればするほど、自分は人間とは違った存在だと意識せざるをえなくなり、疎外感、孤独感を味わいます。
 アトムは教室で同級生にいじめられますが、ロボットは人間に歯向かってはいけないというロボット法なる法律もあって、アトムはそれを守り反抗せずに、なすがままにされて、そのいじめに耐えるのです。ロボットたちが人間に反乱を起こした時も、ロボットの仲間たちの呼びかけに、アトムは悩みながらも結局応じず、ロボットの反乱を止めます。漫画では描かれていませんが、アニメではアトムは地球を救うために、太陽に突っ込んでゆくという、悲しい最期を迎えます。
 確かに、手塚治虫の漫画の主人公は、こういうパターンのものが多いようです。「ジャングル大帝」では、ライオンの王レオが、動物と人間の間で苦しんでいますし、レオもまた、自分が死ぬことで人間のヒゲオヤジを救うという展開になっています。ヒゲオヤジがレオの皮をかぶることによって、寒さを防ぐことができたのです。「バンパイヤ」という作品においても、狼に変身するトッペイが、やはり変身一族のバンパイヤと人間のはざまで苦しんでいます。

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