映画探訪9 「風林火山」 かつての映画と昨年の大河ドラマ

 昨年、大河ドラマで放映していた「風林火山」ですが、内野聖陽が勘助役を、市川亀治郎が武田信玄を好演していましたし、上杉謙信役のGACKTも最初は違和感を覚えたものの、次第にドラマに溶け込んでいきましたし、颯爽とした義の武将としての姿を独特の雰囲気でかもし出していました。紅白歌合戦の時には、鎧姿でレクイエムを歌っていましたが、上杉軍の陣中で歌うという趣向で、戦国時代のムードをそれなりに出して凝っていました。
 ドラマとしても丹念に作られていて悪くなかったのですが、クライマックスである最終回の川中島の合戦の場面にあまり迫力が感じられませんでした。戦いの激しさをもっと出して欲しいところですし、勘助の殺され方も安易で靜か過ぎました。その点、二千年の大河ドラマの「葵」の関ヶ原の戦いはエキストラを大量動員して、規模の大きな戦いを臨場感たっぷりに描いていました。昨年の末にテレビで放映していた「敵は本能寺にあり」でも、本能寺の変の戦いの場面が不自然でした。降りかかるたくさんの弓を信長が刀で振り払いますし、鉄砲も当たりません。最近は殺陣の場面が、昔に比べて質が落ちている気がします。時代劇全盛だった頃の戦いの場面は迫力がありましたし俳優も刀さばきがうまかったと言えます。
 私が高校時代に友達と映画館で見た「風林火山」の印象はなお鮮烈なものとして、私の中で残っています。山本勘助を三船敏郎、信玄を中村錦之助、謙信を石原裕次郎が演じていましたが、合戦の場面がすさまじく、大画面一杯に戦いが繰り広げられるといった趣きでした。 それまで「風林火山」は規模が大きすぎて、映画にするのは難しいと言われたものでしたが、この時は巨額な費用をかけて見事に映像化したのです。
  山本勘助自身の存在が疑われた時期もありましたが、今は実在の人物であったことが裏付けられています。しかし、小説やドラマで描かれたような軍師であったかどうかははっきりしない面があります。謙信が信玄に討ちかかり、それを信玄が軍配で受け止めるという有名な場面も実際のことであったかかどうかも判然としません。軍を二隊に分けて謙信のいる妻女山に攻め込むという「きつつき戦法」は作戦として悪くありませんし、それを事前に察知した謙信側も見事です。英雄2人の対決がお互いに力を消耗させ、結果的に信長を利する形になりましたが、信玄も謙信も古いタイプの人間であり、信長は全く新しいタイプの武将でした。
 もっとも、私は高校時代、謙信を主人公にした「天と地と」という小説に感動し、石坂浩二が主演した大河ドラマにものめり込みました。特に謙信と宇佐美定行の娘との純愛には胸打たれました。これは正月に松岡昌宏主演でテレビ放映されていましたが、かつてほどの感動は覚えませんでした。それだけ若い時の印象は強いという証(あかし)なのかもしれませんが。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック