韓国ドラマ探訪68 「海神」7  額に烙印を押されるヨンムン

 チャン・ボゴは海戦の末にとうとう宿敵のヨンムンを捕まえ、刺字刑という刑罰を与えますが、額に「盗」という烙印が押されるという残酷なものでした。ヨンムンは海賊であり、チャン・ボゴの父親は海賊のために死んでいますし、自分も奴隷として唐に売られて塗炭の苦しみを嘗めたのですから、当然の報復ですが、ヨンムンが血を流しながら烙印を押されるという苦痛に耐える場面は迫力がありましたし、このことによってヨンムンは逆にチャン・ボゴへの恨みを晴らすことを強く決意します。
 チャン・ボゴはそうなることを知りながら、敢えてそうすることに踏み切ったのは、自分の受けた苦しみをヨンムンにも味わわせたいという復讐心からというより、海賊はこういう末路をたどるのだという周囲への見せしめでした。それが証拠に、チャン・ボゴはそういう刑罰を与える前に、ヨンムンの縄目を解き、二人で酒を酌み交わしますし、お互い敵同士という宿命を負ってしまったことを嘆きもします。それにヨンムンを殺せば、チョンファも悲しむことも知っていたチャン・ボゴでしたから、彼の命だけは助ける必要があったのでしょう。チョンファはヨンムンが自分に恋してしまったことから、彼がチャンボゴと対決する道を選び、海賊にまで身を落としてしまったことに大いに同情していましたし、彼の思いに応えられないことを苦にもしていました。
 ヨンムンはかつてのチャン・ボゴと同じく奴隷の身に落とされますが、ヨンムンもまた復讐心だけを糧にして生き延びます。そうなることをチャン・ボゴ自身はある程度予想していたかもしれず、二人の因縁はまだまだ続くと考えていたのかもしれません。
 チャン・ボゴは新羅王に呼ばれ、清海鎮大使に任じられ、公に認められた形になります。片やヨンムンは奴隷ですが、このように二人の境遇が目まぐるしく変わるのがこのドラマのスリリングなところです。このように二人がいつも関わり合って数奇な紆余曲折の人生が展開されるというのは、実際にはありえないことですが、歴史的な事実は別にしてこれだけの起伏に富んだ仕掛けをよく考えられるものだと感心します。
 刺字刑は中国にもある刑罰であり、顔に入れ墨をされた賊を「刺字賊」と言いますから、まさにヨンムンは「刺字賊」扱いでした。もっとも、ヨンムンはこれまで数多くの人間を殺してきましたから、烙印を押すという非人道的な行為は問題ですが、それ相当の罰は受けてしかるべきです。日本でも江戸時代には流人の腕に入れ墨が施されましたが、顔に入れるというのはあまり聞いたことがありません。

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