映画探訪17 「学校の階段」1 階段や廊下を疾走してタイムを競うという奇想天外な部活動

 「学校の怪談」のもじりかパロディのような映画かと思っていたら、全く違いました。階段部という聞いたこともない面白い発想の、高校の部活動の話です。学校の施設や階段を走ってタイムを競うという単純ながら相当ハードな運動系クラブです。
 櫂末高彰のライトノベルが原作ですが、主人公が映画では女生徒になっており、黒川芽以が演じています。途中、彼女たち登場人物が歌う歌も入っており、ミュージカル的な要素もありますが、突然入ってくるだけに、違和感を覚えないではありません。やるならインド映画のように突然歌って踊り出すという場面を何回か入れて徹底して行う方が面白いでしょう。中途半端だと、かえって味わいを損ねるからです。
 階段部は学校からは鼻つまみ的な存在でした。それはある意味当然でしょう。階段のみならず、学校の中のいろいろなところを全力疾走するのですから、人とぶつかりかねず、危険なところもありますし、迷惑な話でもあります。生徒からも嫌がられ、教師からも毛嫌いされ、差別を受けています。
 生徒会長中村ちづるは階段部を廃部にしようと画策しますし、疾走を邪魔するように廊下にワックスをかけたり、出入り口を封鎖して武道場に誘い込み、練習している剣道部や柔道部の部員たちと遭遇させたりという妨害行動に出ます。厄介なことに、彼女は学校の理事長の娘であり、教師たちも彼女の意向に沿うしかないという設定になっています。このあたりは、いかにも作り物という気がしますが、そもそもありえないような部をテーマにしているのですから、こういう対立関係を持ってくることによって、ドラマ性を生み出そうとする意図が見えます。
 ヒロインの神庭里美が、転校してきてバスケ部に入る予定だったのが、階段部員の疾走を廊下でたまたま邪魔した形になったのが縁で、怪我した部員の代わりに部員になるよう勧誘されたり、部員にカバンをひったくられてその後を追って走り、階段部の部員と同じような疾走をやらされたりするはめになります。結果的に彼女は正式の部員になりますが、それを決めたのは、生徒会長の階段部蔑視への反発と、階段部長の刈谷謙吾の言葉、彼に対する関心などによってです。
 数名しかいない部員たちは、中学時代に陸上などをやっていたものの、それぞれの事情でリタイアせざるをえなかった者たちであり、所詮は「落ちこぼれ」の集団だと生徒会長は言い放ちます。しかし、最後は神庭里美は階段部の存続をかけて中村生徒会長と競走する展開になり、ここも作為が感じられ、そういう競走はないだろうという気持ちにもなりますが、中村はもともと階段部の創設者であり、階段部に対する特別な愛憎を持っていたことが示され、こういう流れになるのも考えられないことはないと、一応納得はできます。

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