古典文学60 「源氏物語・柏木の懸想」1 女三の宮を妻に迎えたのが間違いのもと
「源氏物語」の「柏木の懸想」という箇所を授業で以前も取り上げたことがありますし、今度も扱います。柏木が光源氏の正妻の女三の宮の姿を垣間見て、彼女に余計思いを燃やしてしまう部分です。教科書に取り上げられているところは、ごくわずかですが、柏木がこのことをきっかけにして女三の宮と不倫を働いてしまうことになりますから、きわめて重要な箇所です。猫が絡んで垣間見できたというのも、偶然の産物ですが、源氏の息子の夕霧が15歳の時に、紫の上を初めて見てしまうのも野分〈台風〉のせいであり、共に設定が不自然でないようによく考えられています。
「源氏物語」のテーマの一つは因果応報であり、源氏がかつて義理の母に当たる藤壺の宮と関係を結び、不倫の子供が出来てしまうというそのしっぺ返しを、自分の妻の不倫という形で受けるのです。しかも、子供まで出来てしまい、それが「宇治十帖」の主人公の薫大将となりますが、表向きは光源氏の息子ということになっており、源氏の子も表向きは桐壺帝の子となっているのに酷似しています。自分の因果が妻に報いられたといった形ですが、可哀相なのは藤壺の宮であり、女三ノ宮であり、源氏の子供であり、薫大将です。女たちは自分のしでかした罪に苦しみ、子供たちは出生の秘密に苦しみます。
光源氏には最愛の女性として紫の上がおり、女三の宮を妻として迎えることはもともと源氏の本意ではありませんでした。源氏の兄に当たる朱雀院が自分の娘の女三の宮の行く末を心配して、源氏に委ねました。紫の上は正妻ではなく、若紫の時代に半ば誘拐同然にして、自分の家に連れてきて、自分の思い通りの女性に育て上げた相手です。そこをつけ込まれたという形になりますし、兄のたっての願いを断れないという事情もありました。それがさらなる悲劇を生むことになるのですが、そういう因果応報の悲劇を描きたいがために、作者は全体の構成を考えて、物語を紡いでいったのでしょう。
柏木も女三の宮に求婚していましたが、地位が低いことと若年であるという理由で断られました。柏木は、源氏の親友である頭中将の息子ですが、なかなか女三の宮のことをあきらめられませんでした。紫の上も源氏が女三の宮を妻に迎えたために、悩みが生じますし、源氏も女三の宮があまりに幼くて頼りないのに失望してしまいます。源氏と紫の上との間に生じた溝は埋まらないままでした。女三の宮の源氏への降嫁が、すべて悪い方へと作用し、最悪の結果を招きますが、それを物語は丹念に追っていきます。
「源氏物語」のテーマの一つは因果応報であり、源氏がかつて義理の母に当たる藤壺の宮と関係を結び、不倫の子供が出来てしまうというそのしっぺ返しを、自分の妻の不倫という形で受けるのです。しかも、子供まで出来てしまい、それが「宇治十帖」の主人公の薫大将となりますが、表向きは光源氏の息子ということになっており、源氏の子も表向きは桐壺帝の子となっているのに酷似しています。自分の因果が妻に報いられたといった形ですが、可哀相なのは藤壺の宮であり、女三ノ宮であり、源氏の子供であり、薫大将です。女たちは自分のしでかした罪に苦しみ、子供たちは出生の秘密に苦しみます。
光源氏には最愛の女性として紫の上がおり、女三の宮を妻として迎えることはもともと源氏の本意ではありませんでした。源氏の兄に当たる朱雀院が自分の娘の女三の宮の行く末を心配して、源氏に委ねました。紫の上は正妻ではなく、若紫の時代に半ば誘拐同然にして、自分の家に連れてきて、自分の思い通りの女性に育て上げた相手です。そこをつけ込まれたという形になりますし、兄のたっての願いを断れないという事情もありました。それがさらなる悲劇を生むことになるのですが、そういう因果応報の悲劇を描きたいがために、作者は全体の構成を考えて、物語を紡いでいったのでしょう。
柏木も女三の宮に求婚していましたが、地位が低いことと若年であるという理由で断られました。柏木は、源氏の親友である頭中将の息子ですが、なかなか女三の宮のことをあきらめられませんでした。紫の上も源氏が女三の宮を妻に迎えたために、悩みが生じますし、源氏も女三の宮があまりに幼くて頼りないのに失望してしまいます。源氏と紫の上との間に生じた溝は埋まらないままでした。女三の宮の源氏への降嫁が、すべて悪い方へと作用し、最悪の結果を招きますが、それを物語は丹念に追っていきます。
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