映画探訪19 「地雷火組」1 五十年前の里見浩太朗が長州藩士・桂小五郎を熱演

 里見浩太朗と云えば、現在では「水戸黄門」の黄門様であり、大河ドラマ「龍馬伝」では、千葉定吉を演じていますが、今から50年前に里見浩太朗が長州藩の桂小五郎を演じた「地雷火組」という時代劇がテレビで放映されており、若くて颯爽とした里見浩太朗の姿に惹かれて最後まで見てしまいました。この映画は、当時、前編・後編と二回に分けて映画館で上映されていました。古い映画ながら今でも、見させてしまうのは、殺陣の迫力とスターたちの存在感の大きさです。桂小五郎や長州の藩士たちが、新撰組や佐幕派の人々と剣で立ち回りする場面が何度となく出てきますが、激しいその場面に見応えがあって飽きさせません。近頃、時代劇がもう一つ人気がないという原因の一つとして、殺陣シーンのひどさが挙げられます。殺陣をうまくこなせる俳優が、昔に比べて、随分少なくなりました。
 この映画は幕末の京都を舞台にしていますが、残念ながら、坂本龍馬は登場しません。登場人物の口を借りて名前は出てくるのですが。長州藩が善人、新選組が悪人という描き方になっており、新撰組ファンにはもう一つかもしれません。私は西軍びいきということもあり、勤王の志士が大好きなのですが、この映画では沖田総司はいささか年が老けていますし、桂小五郎の恋人である夏絵を襲おうとしますから、いささか悪く描かれすぎのきらいがあります。この映画は大仏次郎の小説が原作ですが、同じ作者の「鞍馬天狗」では、鞍馬天狗が敵である新撰組の隊長の近藤勇をライバルとして評価する場面も出てきますから、この映画では少し扱いが違うという気がします。
 この映画はまず北山で大爆発の音が響き渡り、京の人々の眠りを起こす場面から始まり、そこからしてインパクトがあります。この爆発が何者のしわざなのかが分からず、人々も勤王派のしたことなのか、神の怒りなのかとささやき合います。薩摩藩士が江戸で放火や強盗などを繰り返し、幕府を挑発したのは有名な歴史的事実ですが、この爆発は勤王派のしわざではありませんでした。この爆薬を巡って勤王派と佐幕派の争奪戦が繰り広げられるわけですが、この映画では桂小五郎の同志として近衛十四郎扮する佐橋与四郎なる長州藩士が登場し、佐橋与四郎と桂小五郎の二人が鮮やかな剣さばきを披露し、八面六臂の活躍をします。一人でこのようにたくさんの人が切れるはずはありません。刀が持ちませんし、強度な刀があったにしても人の血や脂が刃に付いて、せいぜい数人切ればいいところだというふうにも云われています。
 しかし、時代劇では殺陣が売り物でから、どの映画でもバッタバッタと人を切り倒し、時代劇スターの巧みな剣さばきに観客も魅了されるわけです。たくさんの敵を切るのはありえないことながら、時代劇のお約束として許されてきました。
 夏絵は長州浪人の戸田重蔵の娘であり、桂小五郎と相思相愛の仲になりますが、この戸田重蔵が勤王派を裏切り幕府の手先として動きます。重蔵を演じているのが、悪役スターとして有名な原健策ですから、彼が登場してきた時点で、これは怪しいということになるわけです。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック