漫画探訪46 朝日新聞記事「被災地を励まし続けた アンパンマンのマーチ」 ・歌詞に見られる思想再掲載

 3月10日付けの朝日新聞土曜版に「被災地を励まし続けた アンパンマンのマーチ」と題する記事が出ていました。
 アンパンマンの主題歌が東日本大震災で傷付いた人々を勇気づけているという記事はすでに昨年の3月26日付の朝日新聞記事に「アンパンマンの歌 被災者励ます」と題して掲載されています。アンパンマンの主題歌を放送するラジオ局が相次ぎ、多くの反響が寄せられ、その歌詞は子供たちだけではなく、大人たちの心も揺さぶっていると書かれていました。
 その記事には「余震を怖がる子供もじっと聞いていました。曲のあと『僕頑張るよ』とつぶやいていました」「福島の父母を案ずる日々です。うちの子供と3人たちで歌っていた姿を思い出し、涙がとまりません」などという声が寄せられているともありました。
 土曜版の記事では、アンパンマンの主題歌を最初に流したのは、TOKYO FMの番組制作部プロデューサーであることが明らかにされています。大震災から丸1日が過ぎ、聴取者から「被災地に届けたい音楽」を募集し、英国のバンド、シャーデーの「バイ・ユア・サイド」を流しましたが、しっくりこなかったと云います。もっとストレートに被災者の心に届く曲がないかと思った時に、プロデューサーの目にとまったのが「アンパンマンのマーチ」でした。
 3才の娘のことがふと彼の頭をよぎり、被災地の子供たちはどうしているのだろう、子供たちに少しでも日常の気配を取り戻してあげたいと、その日の夕方から「アンパンマンのマーチ」を系列局で流し始めました。通算で何回流したかは記録に残っていないそうですが、他のラジオ局でも繰り返し流され、あまりに大きな痛手に被災地はもちろん、日本全体が心が折れそうになる中、「心の復興」の歌として人々を励まし続けたと書かれています。
 アンパンマンの主題歌の歌詞に見られる原作者の思想について、拙ブログ2007年6月25日付け記事で取り上げたことがあります。繰り返しになりますが、改めて掲載いたします(多少文言を換えました)。
 アンパンマンの原作者であるやなせたかし氏の思いが端的に表れているのが、お馴染みの「アンパンマン」のテーマソングの歌詞です。人間何もしないでは、目的を持たなければ、人生に空しさを覚えるだけであり、アンパンマンも人生の意味を見つけるために行動していると言っています。困った人を助け、人のために尽くすことで、生きる喜び、充実した生が味わえると言っています。愛と勇気が友達の、正義の味方の主人公ですが、安っぽいヒーローでないことは、胸の傷が痛むなどという表現があることでも明らかですし、胸の傷が痛みもするアンパンマンは、光と影を合わせ持った実に人間的な存在です。人を助けることは自己犠牲を伴うことであり、自分自身、無傷ではいられませんし、そもそも生きていく以上、喜びだけでなく、苦しさも辛さも味わわなければなりません。
 この歌詞からは無常観もうかがえ、時間も早く過ぎることや星が消滅することまで歌われています。時間は刻一刻と過ぎて行き、人の一生もまたたくうちに終わってしまうという仏教的な無常観が表れています。しかし、そういう人生だからこそ、一瞬一瞬を惜しんで、大切に生きていかねばならないと作者は主張しています。
 人生には数々の困難が待ち受けていますが、それに負けることなく乗り越えてゆかなければなりません。そういう意味で言えば、バイキンマンは病気だけでなく、数々の苦難の象徴とも言え、それをはねのけ、克服することによって人間は成長してゆきます。アニメでは毎回、アンパンマンがバイキンマンを最後にやっつけるというパターンの繰り返しに過ぎませんが、これを人の一生という長い目で見れば、一つ一つ困難を乗り越えてゆくことで、少しずつ成長して前進しているわけであり、堂々巡りではないということになります。


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