日本文学探訪112 山愛美氏の講演「村上春樹の創作活動と心理療法」1 心理療法家として創作過程に関心

 8月30日に、京都学園大学で「『語り』の力」と題する講演会が行われましたが、それは山愛美氏の「村上春樹の創作活動と心理療法」と森岡正芳氏の「人が語り始めるときーナラティヴ心理学の道しるべー」及びパネルディスカッションから成り立っており、興味ある内容なので聴きに行きました。この講演会も人文学部の開設記念講演会の一環で、「『源氏物語』の真実」「『平家物語』の真実」についで、3回目であり、自分はどれにも参加しました。
 村上春樹氏の小説は、一時のめり込んだ時期があって、かなりの作品を読みました。「世界の終わりとワンダーランド」が最初だったでしょうか。その後、読んだものとしては「ノルウェイの森」「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」「羊男のクリスマス」「ダンス・ダンス・ダンス」「国境の南、太陽の西」「ねじまき鳥クロニクル」など。もっとも、村上春樹氏の作品がメジャーになりすぎてからは、流行に流されるのが嫌で、本を買うのを控えたため、「海辺のカフカ」や「1Q84」は読んでいません。しかし、未読の作品もそろそろ読んでみようかと思っています。羊男が出て来る「羊男のクリスマス」「ダンス・ダンス・ダンス」は今年、久しぶりに再読しましたが、羊男によって別の世界へ導かれる、その謎めいた小説の展開に今更ながら引き込まれました。
 さて、山氏の講演会は、村上春樹の小説を文学論的に扱うのではなく、心理学的アプローチがされており、非常に興味深い内容でした。
 まず村上春樹氏の生い立ちを述べることから始まりました。もっとも、この日は前二回の講演と違って、若い人々の姿が目立ちましたが、恐らく村上春樹ファンの人々と思われ、村上氏の経歴は大抵の人がある程度知っているような気もしましたが。
 1949年京都市で生まれ、両親は国語の教師であり、芦屋、西宮で育ったこと、欧米文学に傾倒し、高校生になるとペーパーパックでアメリカ文学を読みジャズに親しんだこと、早稲田大学の文学部映画演劇科に進学し、7年間在学して卒業したこと、学生結婚したこと、帰属の集団に属することを拒み、ジャズ喫茶を営んだこと、29歳の時、夜中台所で1章ずつ書いた「風の音を聴け」(1979)が群像の新人文学賞を受賞したこと、以後、長編、中編、短編小説、翻訳、ノンフィクション、インタビュー集、絵本、写真を出版したことなど。
 また村上作品が欧米や東アジアの国々約40ヶ国で翻訳され、大きな評価を受けていることにも触れられていました。また1991年から93年にかけてプリンストン大学、93年から95年にかけてはタフツ大学に在籍したことなどを通じて外から日本を眺めることにつながったという点にも、言及されていました。
 山氏は村上春樹氏の熱心な読者でしたが、その後、心理療法家として創作過程への関心を持ち、内からその世界を体験したと述べられていました。
 

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