美術探訪7 「海北友松展」9 「変わりゆく画風」2 講演会の解説

 「海北友松展」の「第五章 友松人気の高まりー変わりゆく画風ー」には、慶長4年以降、最晩年期までの水墨画が展示されていましたが、八条宮智仁(としひと)親王、亀井玆矩(これのり)、近衛信尹(のぶただ)の求めに応じて描かれた作品も展示されていました(亀井氏に贈った「飲中八仙図屏風」については前述しました)。 近衛信尹は、「瀟湘八景図」を注文主に代わって友松に依頼するという仲介者の役割を果たしていることを示す書状も展示されていました。
 また「婦女琴棋書画図屏風」が展示されていましたが、この絵については嵯峨美大で行なわれた講琴棋書画図演会「海北友松の絵画を解析する」で取り上げられていました。
  すなわち、「婦女琴棋書画図」では、女性は囲碁にあまり興味を示さないためか、棋盤は隅に置かれているというユニークな描き方がされていると。女性の琴棋書画図は異色であることは、図録に記されています。ストレートに絵を描いていないことは、「画」が「画を支え持って眺める場面」で、「書」は「大樹にもたれて文を読む女性と机の上にさりげなく置かれた書籍によって」(この文は恋文ではなかったかと推測されています)、「琴」は「女性の前に立つ童子が抱える琴により」描かれており、確かに「ひねりの効いた」ユニークな描き方と云え、遊び心がうかがえますし、見る者の目を楽しませてくれます。女性たちの着ているものも色鮮やかで、彩りを添えており、華やかな印象を受けます。
 「野馬図屏風」や「放馬図屏風」には、さまざまなポーズの馬が描かれていましたが、講演会では坂本英房氏はこういうポーズを馬は実際取ることがあり、友松は馬の様子を見て描いていたのだろうと指摘されています。またふさふさの前髪がある馬が描かれていますが、実際、そういう馬がいることも坂本氏はスクリーンに馬の写真をうつして説明していました。躍動感があり、ほほえましい馬の姿にほっとさせられました。「野馬図屏風」は、「まるで一筆書きのような趣がある」と、図録に記されていますが、それがかえって印象を強くしているような気がしました。
 「鷹図」に描かれている鷹は、オオタカだという指摘が、講演会で坂本氏によってされていました。二羽の鷹が描かれていますが、静と動、対照的で目を引きます。図録には、「太い枝に止まり天空を凝視する一羽の鷹を左幅に描き、右幅にはそれを目掛け急降下するもう一羽の鷹をあらわす」と示されています。構図もよく考えられている感じがします。
 「牧牛図屏風」にはさまざまな角を持った七頭の牛が描かれていますが、実際そういう形の牛がいると、講演会で坂本氏が説明されていました。これも実際の牛を見て描かれたものと思われます。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 2

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック