美術探訪9 「海北友松展」11 「妙心寺の金碧屏風」 寒山拾得・三酸図、画料請取状

 「海北友松展」の 「第七章 横溢する個性ー妙心寺の金碧屏風ー」には、「寒山拾得(かんざんじっとく)・三酸(さんさん)図」が展示されていましたが、寒山と拾得の表情がなんとも云えず、印象的でした。二人とも笑っているのですが、赤い口が少し開き、なんとも不気味な感じがしました。「寒山拾得」は、漢文でも出て来ますし、いろいろと画家が絵を描き、森鴎外の小説にもなっていますが、さまざまな奇行で知られる僧侶です。「三酸図」の方は、三人が酢をなめて、いかにも酸っぱそうな表情を浮かべている様子に笑いを誘われました。
 この絵については、嵯峨美大で開かれた講演会でも取り上げられ、寒山は経巻を、拾得は箒を持っており、「三酸図」は、仏教・儒教・道教はいずれも本質的に同じだと説くものだと佐々木正子氏によって説明されていました。
 図録には、「三酸図」に描かれているのは、「蘇東坡・仏印禅師・黄谷山」であり、「どの人物もこの種の画題に付きものの暗さや渋さはなく、むしろ飄々として大らかである。ユーモラスな面貌表現と、略体人物図のそれにも似た気負いのない衣文描写がその要因をなしているのであろう。端正さを旨とする狩野派の人物図などとは全く対照的な、友松の個性が横溢する名品である」などと記されています。
 「琴棋書画図屏風」は、講演会でも取り上げられ、棋盤の上に琴を置いているのがユニークだと、佐々木氏によって説明されていました。その時には気づきませんでしたが、人物が棋盤の上に頬杖をついて眠っていました。
 その外にも、この絵は変わった描き方をされていること、及びその意味について、図録で次のように解説されています。
 すなわち、「高士が大樹にもたれ掛かって書を読むという場面が描かれている」、「画軸を童子ではなく高士が捧げ持つというポーズも不可解である。どこか『琴棋書画』という行為を小馬鹿にしているのではないかと思われるほど、これらの人物は特異に過ぎる」などと。
 これも友松の個性が溢れている作品だと云え、既成の概念を敢えて無視した自由な描き方を目指していることがうかがえました。
 興味深いのは、妙心寺宛の友松の画料の請取状が展示されていたことです。「お気遣いいただき、屏風を制作した報酬として銀子一貫目並びに銀子二十枚という過分な額を確かに受領いたしました」という内容です。この額について、図録には「一双につき約80万円。かなり廉価であったことは間違いあるまい」と指摘されています。「こうした画料の請取状はほとんど遺されておらず」、「甚だ希少な史料」ということも記されています。

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