三成の実像2100 大西泰正氏「シリーズ【実像に迫る】宇喜多秀家」3 「鷹図」・鷹狩り

 大西泰正氏の「シリーズ【実像に迫る】 宇喜多秀家」(戎光祥出版)の中に「秀家ゆかりの品々と関ヶ原」という題の口絵がありますが、その中に宇喜多秀家が描いたと伝わる鷹図の写真が載っています。その説明として次のように記されています。
 「伝来の経緯など詳細はまったく不明。讃文は江戸初期の禅僧・嶺南崇六のものという 板橋区立美術館蔵」と。
 秀家の鷹狩り好きは有名であり、これに多大な費用を使ったということが云われますが、これについては、以前に拙ブログで取り上げたように、大西氏の「豊臣期の宇喜多氏と宇喜多秀家」(岩田書院)の中で、しらが康義氏が「秀家による鷹狩・猿楽に関する出費を、遊興費ではなく、豊臣政権下における大名としての交際費であるとの見通しを示している」と紹介されています。
 三成も鷹マニアであったことを示す、中納言宛の三成書状があり、中井俊一郎氏の「石田三成からの手紙」(サンライズ出版)でも取り上げられており、この書状については、中野等氏の「石田三成伝」(吉川弘文館)でも言及されています。中野氏の同書では、この書状から三成について次のような人物であったと記されています。
 「鷹狩りは、行く先々を視察することにもなり、また、軍事訓練という側面もある。そうして実利的な意味合いも考慮する必要はあろうが、三成の鷹好きはそのような域をはるかに超えている。いずれにせよ、三成の実像は『青白きインテリ』といったものではなく、むしろ果断に事をすすめる剛胆な人物であったように思われる」と。
 これに対して、水野伍貴氏の「書評 中野等著『石田三成伝』」(『織豊期研究』2017年)の中で、次のように中野氏の見解をうべないつつ反論もされています。
 「著者は、三成を偏ったイメージではなく総体的に捉えるべきだと警鐘を鳴らしたのであり、三成像を捉える上で重要な指摘であると評者は思う。しかし、鷹狩りを好んだことをもって、豪胆な人物と評価する点においては賛同できない。
 三成に限らず、鷹狩は武家や公家の間で広く好まれていた。鷹が進上品として使われているように、鷹狩はスポーツとしての面だけではなく、茶の湯と同様に嗜むこと(行えること)自体がステータスである。特に、(他領でも)どこにおいてでも鷹狩が出来るのは特別に許された名誉なことであり、加藤秀幸氏は同史料にある『道中』の文言から、当時、三成もこの別格を得ていたのであろうとしている」などと。
 加藤氏は「石田三成書状ーその趣好ー」(『古文書研究』第10号、1976年)の中で、この鷹狩りに関する書状を取り上げ、論じられています。確かに、三成が鷹マニアであったのは事実ですが、これだけで豪胆な人物であったと断定するのは根拠が乏しい気がします。
 

この記事へのコメント

2017年11月22日 22:00
なぜか昔の大映映画の〔しとやかな獣]を思い出しました。外見は物静かで真面目そのもの
じつはすごくエネルギッシュでモテモテ!(もちろん同性にも)な~んてね!冗談はさておき、私も鷹狩りはたしなみ程度だと思います。
2017年11月24日 22:13
tokebiさん、コメントありがとうございます。
 残念ながら「しとやかな獣」は見ていませんが、アクの強い面白そうな作品ですね。出演者も調べましたが、芸達者揃いですね。一度見てみたいものです。
 三成が鷹マニアであったことだけで、豪胆な人物とは断定できませんね。もっとも、映画「関ヶ原」では、三成の武将らしい面がいろいろ出ており、従来の一面的な三成像を壊していて好感が持てましたが。
 

この記事へのトラックバック