フランス文学探訪101 フローベル「ボヴァリ-夫人」2 最初は年上の女性と結婚するボヴァリー 

 「ボヴァリ-夫人」という題が付いているものの、主人公は夫のシャルル・ボヴァリ-であり、彼の学校時代の描写からこの小説は始まります。転入生として教室に入ったものの、へまをしでかしてみんなの嘲笑を買うというみじめな姿が、まず描かれます。肝心のボヴァリ-夫人がなかなか登場しないという不満を昔は覚えたという記憶がありますが、お人よしで他人のことがよく見えないという欠点があったため、後に夫人のエンマに不倫を働かれても気づかなかったというストーリーの大事な伏線になっており、そういう意味でなおざりにはできない冒頭の話になっています。
 シャルルの成績は中ぐらいでそれほど振るわず、医師免許の試験にも最初は失敗し、二度目に合格しました。トストで開業しますが、母親が嫁を選びます。執達吏の未亡人で45歳でしたが、収入があったので、母親が気に入ったのです。しかし、結婚後は、すっかり年上の妻の天下となり、シャルルは完全にその尻に敷かれてしまいました。妻の監視付きの生活は、彼にとって、不自由なものになりました。こういうふうに、妻が圧倒的に年上の夫婦が当時、どれほどいたか分かりませんが、その時代ではあまり聞いたことがないような気がします。ロシアの貴族の場合、夫の方が中年で、妻の方が若い娘というのは、小説によく出てきますが。
 シャルルはある時、足の骨を折った、割と裕福な農民のルオーの往診に出かけ、その娘のエンマに目を止め、それから彼は彼女に会うのが楽しみになって来ます。妻はそれを知り、嫉妬を燃やしたため、彼は会いに行くのを止めざるえませんでした。
 しかし、その後まもなく、妻は急死してしまいます。妻に財産があったのが嘘と分かり、姑との間に一悶着があった直後のことであり、このあたり、小説がうまく出来過ぎているきらいがあります。
 ルオーの誘いもあって、シャルルは大手を振って、ルオーの家に赴くことができ、エンマに会いに行きます。そして求婚しますが、ルオーもその言葉を待っていたのです。エンマが夢見がちなロマンチックな娘であったのは、真夜中に松明をともして結婚式を挙げたいと言い出したことからもうかがえます。彼女は修道院で育ちましたが、その生活の中で、貸し本でしきりに小説ばかり読んでいたのです。
(2004年06月25日 公開)

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