旅行記170 彦根旅行1 石田三成の実像2705「三成ブックカフェ」のイベント 前田鎌利氏による「大一大万大吉」の揮毫と解釈

フェイスブックの方でも記しましたが、3日に米原市の大原観音寺で行われた、「石田三成ブックカフェ」のオープニングイベントに参加しました。前日の昼に彦根入りし、午後は、仙琳寺(江戸時代、石田三成や一族の供養のために、入山禁止の佐和山に領民たちが入って置いたとされる石田地蔵が並べて置かれていますが、残念ながら門が閉まっていました)の竹林のそばを通り、三成の屋敷があったモチノキ谷、嶋左近の屋敷があった清凉寺、龍潭寺のそばまで行き、さらに彦根城の開国記念館の展示を見てきました。猛暑なので、佐和山に登るのは断念しました。このあたりのことは後述します。彦根には二泊しました。
 DSCN6871.JPGオープニングイベントはまず、伊吹高校書道部による書道パフォーマンスが本堂前で行われました。三成の辞世の歌「散り残る紅葉はことにいとおしき秋の名残はこればかりぞと」、いわゆる「残紅葉」をテーマにしたものでした。
 その後本堂内で書家の前田鎌利氏による、三成の旗印である「大一大万大吉」の揮毫が行われました。張り詰めた、厳粛な空気の中、前田氏は思いを込めて書き上げられました。後で、前田氏がその思いについて説明されていましたが、この旗印には「大」の字が三つも使われており、「大」には「人」が含まれていることから、人と人とのつながりが大事で、それが世界に吉をもたらす、そういう思いで書いたと。
 DSCN6861.JPGDSCN6868.JPGDSCN6870.JPGこの旗印の解釈は、「一人はみんなのために、みんなは一人のために尽くせば、すべての人間の人生は吉となり、平和な世が訪れる」という捉え方が世間に広まっていますし、私も教員時代、生徒たちにそう説明してきましたが、この解釈は1998年に前原正美氏によって唱えられたものだということがわかってきました(前原氏「『大一大万大吉』の御旗に見る石田三成の〈愛の思想〉」(別冊宝島編集部編『悲劇の智将 石田三成』【宝島文庫】所収)。恐らく縁起のいい言葉を並べたというふうに今では思っています(「日本国語大辞典」【小学館】には、歌舞伎の「富士三升扇曾我・二幕」に、「『大一大万大吉とは』(中略)『さいさきのよき紋尽し』」との文例があることが記されています) が、前田氏のように解釈もできますし、この旗印には多義的な要素が含まれているのかもしれません。
 

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