受贈御礼 高橋陽介氏の書評報告「本多隆成氏『「小山評定」再々論 家康の宇都宮在陣説を中心に』」1 石田三成の実像2764

 高橋陽介氏より書評報告「本多隆成氏『「小山評定」再々論 家康の宇都宮在陣説を中心に』」(『地方史研究』398号、2019年)をご恵贈賜りました。本多氏の同論考も併せてお送りいただきました。この場を借りてお礼申し上げます。この高橋氏の書評報告は織豊期研究2019年10月例会で発表されたものです。
 小山評定とは、上杉攻めに向った家康が、三成らの挙兵を知って、小山で諸将と会議を開き、上杉攻めを中止して、三成たちを討つことを決定し、それを受けて諸将らは西に引き返したというもので、関ヶ原の戦い関連の小説やドラマでは頻繁に取り上げられます。
 高橋氏による書評報告は、まず小山評定の有無に関する本多氏と白峰旬氏による論争の概略について述べられています。この論争については、拙ブログでも何回か取り上げてきました。本多氏は通説通り小山評定はあったとする立場で、白峰氏は「家康神話の一事例」で虚構であったとする立場です。お二人の論争の詳細については省きますが、高橋氏が述べておられる次のことは特に重要な点なので記しておきたいと思います。
 すなわち、「2017年、水野伍貴氏が『小山評定の歴史的意義』において本多氏の説を支持した。高橋明氏はすでに自説を撤回しており、小山評定の有無をめぐる一連の論争は終結するかにみえた。
 同年、白峰氏は『いわゆる小山評定についての諸問題 本多隆成氏の御批判を受けての所見、及び、家康宇都宮在陣説の提示』において、本多氏の説を批判し、さらに徳川家康の宇都宮在陣について指摘した。『7月26日に家康は宇都宮に在陣していたと考えられるので、家康と諸将の西上が7月26日に宇都宮で決定し、その決定は評定ではなく、家康から諸将に対する命令によって決定したことになる』とし、あらためて小山評定の存在を否定した」と。
 要するに、小山評定が行われたとされる日に、家康は宇都宮にいて、評定のようなものはなかったとするのが白峰氏の見解です。それに対して、本多氏は上記の論考によって白峰氏の見解に対して批判を行ない、家康が小山評定があった日に宇都宮在陣していたことを否定されたわけです。
 高橋氏とは三成祭の時にお会いして、小山評定に関する論争の現状をうかがい、水野氏・高橋氏が小山評定に関する本多氏の見解に同意されていることなども知りました。そういう経緯があったので、上記の書評報告を送ってくださったのだと思います。
 小山評定では、福島正則が率先して「三成討つべし」と言い、みんながそれに同調したというドラマチックな展開になっているわけですが、本多氏も小山評定があったことはうべないつつも、そういうドラマチックな展開があったということまで認められているわけではありません。 

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