石田三成の実像2796 谷口徹氏の講演「石田三成と十三ヶ条掟書」8 年貢米の運搬費用を出す 年貢率の決定の仕方

 昨年11月24日に米原市柏原の成菩提院の本堂で行われた谷口徹氏の講演会「石田三成と十三ヶ条掟書(おきてがき)」の中で、成菩提院所蔵の成菩提院村掟書の条文の現代語訳を一つずつ見ていって解説されていましたが、その続きです。
 「第十二条 年貢米の上納について
 年貢上納については、一石について二升の口米を出す。俵は二重にして、五里以内のところは百姓の負担で運搬し、五里以上のところは百姓に飯米を支給して運搬させる」
 年貢米の運搬費用を出すことを明記していることが画期的だと、講演会では説明されていました。逆に云えば、運搬費用を出していなかったことが一般的だったのかもしれませんし、農民には運搬が負担で、不満も出ていたのかもしれません。この条文について、太田浩司氏の「近江が生んだ知将 石田三成」(サンライズ出版)の中で、次のように指摘されています。
 「この規定は、これ以降の法令には見られるものの、先行する法令にはない条文である」と。
 また太田氏の同書では「三成掟書は、豊臣政権が過去に出した法令をまとめ直したのみで、何ら新鮮味がないように感じられる。しかし、これは錯覚にほかならない」とも記されています。
 三成は農民の実状に合わせて、法令の条文を変えていったわけで、その点、杓子定規ではなく、柔軟に対応していたことがわかります。
 「第十三条 年貢率について
 年貢の免除は稲を刈る以前に、田頭(たがしら)で検分して決定する。もし百姓と代官の見込み違いの田があるときは、その村の田地を上中下の三段に分けて収穫量を算出し、年貢率を決定する。なおそれでも意見の合わないときは稲を刈り取って、これを三分し、その二分を代官に、一分を百姓の得分とすべし。従って、代官に見せずに刈り取った田については年貢率は決定しない」と。
 年貢率は代官と農民との相談で決定するというのも画期的ですが、もっとも、意見が合わない時は、年貢率が三分の二になるというのは、農民にとっては厳しい内容だと云えます。
 しかし、第四条では前述したように、「入作が多くて夫米が余った時は村の収入にする」とも述べられ、農民に温情を施していますから、当時としては珍しく農民に配慮したものになっています。むろん、税収の確保が、三成に与えられた使命ですから、それを遵守させるべく掟書を発しているという点は押さえておかねばならないのですが。

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