映画探訪40 ヒッチコックの「ロープ」も「チャップリンの殺人狂時代」もドストエフスキーの「罪と罰」を彷彿とさせる内容・チャップリンのナチス批判

 ヒッチコックの映画「ロープ」を見ましたが、いきなり2人の男が友人をロープで絞め殺すという衝撃的な場面で始まります。その遺体を衣装箱の中に隠して、その上に燭台や料理を置いてパーティーを催すという展開になりますが、主犯の男は、自分は優れているから人を殺す権利があると思い込んでいるという恐ろしい人物として設定されています。この映画を見て、ドストエフスキーの小説「罪と罰」が頭に浮かびました。この小説の主人公の貧しい大学生のラスコーリニコフも、選ばれた非凡な人間は、凡人に対して罪を犯しても構わない、現にナポレオンのような人間はたくさんの人を殺したことによって、英雄になれたという考えを持ち、自分も英雄になれるかどうか試すために強欲な金貸しの老婆を殺してしまいます。しかし、彼はその後、罪の意識に駆られ、苦悩することになります。小説自体は、ミステリーのような描き方になっており、その世界に引き込まれて読み進めてしまうのですが、テーマは重苦しく、大いなる問題性を含んでいます。学生時代、ソ連版の映画も見ましたが、内容が内容だけに暗く重厚な印象を受けました。
 DSCN0591.JPG 写真は河出書房版の世界文学全集の「罪と罰」です。全集は百巻あり、学生時代、全部集めるのに、何年もかかりました。
 映画「チャップリンの殺人狂時代」の主人公も、ラスコーリニコフと同様の思想を持っています。チャップリンが殺人者を演じるのは珍しいのですが、「1人を殺せば罪人になるが、100万人を殺せば英雄になる」と映画の中で言っています。ここには痛烈なナチス批判、政治批判が表れているのですが。むろん、この主⼈公には感情移⼊できませんし、笑いの要素も少なくいつものチャップリン映画とは趣きを異にしています。同じくナチス批判をした「独裁者」は、笑いの要素も多分に取り入れ、ヒットラーを彷彿とさせる独裁者を辛辣に風刺しています。独裁者に間違われた理髪店の主人公が、最後に「自分は皇帝にはなりたくない」「人類は助け合うべき」「民主主義のもとに団結しよう」と延々と演説する場面は心に響きます。
 DSCN0596.JPG 写真は大学時代に映画館で見た「チャップリンのサーカス」のパンフレットです。当時、チャップリンの映画がリバイバル上映されており、何作も見ました。「チャップリンのサーカス」は、主人公がサーカスに入り、例によってドタバタ喜劇を繰り広げるものですが、笑いの本質は今も昔も変わらないと感じます。

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