笑福亭仁鶴さんの落語「青菜」に出てくる「アンケラソウ」「腸チビス」「おてしょ」「むらさき」「柳蔭」などの語・仁鶴さんの伝説的な活躍

img139.jpg よみうりテレビの番組「平成紅梅亭」で、仁鶴さんの落語「青菜」「不動坊」「つぼ算」が放送され、久しぶりに聴きました。「青菜」は植木屋と旦那、植木屋と女房、植木屋と友達の大工、それぞれのやりとりが面白く、その世界に引き込まれました。植木屋の女房の「おさき」さんが、長屋に帰ってきた植木屋に対して、「このアンケラソウ」「この腸チビス」「この九官鳥」と、次々にののしる場面があり、何回聴いても笑いを誘われます。「アンケラソウ」は造語ではないかと以前は思っていたのですが、「日本国語大辞典」に掲載されています。「ぼんやりとしていて愚かな人をあざけって言う語」だと説明されており、出典例も記されています。「腸チビス」は「腸チフス」のことです。
 植木屋が「鯉のあらい」を手で食べているのを旦那が咎め、「『おてしょ』によそって食べなはれ」と言う場面がありますが、「おてしょ」は、やはり「日本国語大辞典」に掲載されており、「浅い小さい皿。手塩皿」と説明されています。植木屋は悪びれず「こら親からもろうた『万年でしょ』でおまっせ」と言い返し、「口が台所になって洗いまんにゃ。でこが『ふきん』でんねん」と言い、手を口や額で拭います。このあたりのしぐさも面白いのですが、古典落語には今はあまり使わなくなった言葉がいろいろ出てきて、そういう意味でも貴重な伝統芸能と云えます。
 仁鶴さんは落語のマクラで、「氷まんじゅう」の思い出を述べていましたが、「かき氷」のことです。私が子供の頃に「氷まんじゅう」と言っていたかどうかはよく覚えていません。近所の子供がよく通う店で、普段は「お好み焼き」、夏には「かき氷」を食べていましたが、小遣いで食べられる庶民的な食べ物でした。もっとも、「ミルク金時」や「宇治金時」は、高価でめったに食べられませんでしたが。
 落語「青菜」では、しょうゆのことを旦那は「むらさき」と言っていましたが、子供の頃そう言っていたという記憶はありません。旦那に植木屋に「柳蔭」という酒を振る舞い、植木屋は感激して「昔は大名酒と言うてお大名しか飲まなんだ酒やそうでおます」と言いますから、私は長い間、よほど高級な酒かと思っていました。しかし、実際は焼酎とみりんを半分ずつ混ぜたものでした。昔はみりんは高価なものだったのでしょうか。
 仁鶴さんが長きにわたって出演していた、よみうりテレビの「大阪ほんわかテレビ」でも、仁鶴さんの絶大な人気ぶりをうかがわせる話がいくつか紹介されていました。定員900人の「なんば花月」に仁鶴さんを見るために3000人が入っていたこと(仁鶴さんは後ろの客がよく見えるように「膝立ち中腰」で落語を演じていました)、毎日放送の番組「ヤングオー!オー!」の司会で全国的な人気を得たこと(ラジオの「ヤングタウン」のテレビ版ですが、三枝さんだけでなく仁鶴さんも起用されたことで大ヒットにつながりました)、仁鶴さん自身が作詞して歌った「おばちゃんのブルース」のレコードがヒットしたこと(哀愁漂う曲でした)、CM出演して言った台詞「3分間待つのだぞ」が流行語になったことなど。上方落語の面白さを広めた功績についても触れられていましたが、私もその爆笑落語に取り憑かれた一人です。爆笑落語は、桂枝雀さんの落語につながっています。
 

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この記事へのコメント

2021年09月09日 02:56
柳影と書かれているが、正確に表記すると「柳蔭」です。
石田世一
2021年09月20日 11:30
仁鶴さんのレコードには、「柳影」と表記されていますので、長い間、そう思い込んできました。改めて「日本国語大辞典」を見てみると、「やなぎかげ(柳陰)」で掲載されており、②番目の意味にみりんと焼酎とを混合した酒と説明され、使用例として随筆「守貞漫橋」の「柳蔭」という記述が挙げられています。実際、今も「柳蔭」という酒が販売されているようですね。まだ飲んだことはありませんが。記事の方の表記を訂正させていただきます。