漫画探訪29 「三つ目がとおる」2 かつて世を支配していた三つ目族

 変身前と変身後に大きくパワーが違ってくるものとして、たとえば「仮面ライダー」があります。と言うより、改造人間としての自分を本郷猛の時は隠しているわけで、仮面ライダーになった時に、自分のパワーを十二分に発揮できます。しかし、本郷猛の時も仮面ライダーの時も共に正義に与するという点では共通してしますし、見ている方もそれほど違和感は覚えません。それは変身前も変身後も同じ範疇に属する者だからですし、パワーの違いは決定的ですが、あくまで同じ枠内にくくれます。
 それに対して、変身前と変身後で大きく性格が変わるものがあります。その代表格は「ポパイ」であり、本来、お人良しで温厚な男であり、いつもブルートにやられてばかりいます。その彼がほうれん草を食べることによって、スーパーマン的な力を得て、ブルートをこてんぱんにやっつけます。「ポパイ」が善人であることには変わりありませんが、ほうれん草を境にして、性格まで大変身を遂げると言ってよいでしょう。
 「三つ目がとおる」の写楽もその路線を踏まえていますが、テレビ時代劇「必殺」シリーズの中村主水も表の顔と裏の顔を持っていました。普段はドジばかりする奉行所の役人であり、家でも婿養子で妻にも姑にも頭が上がらないこの男が、裏では凄腕の殺し屋として悪人を倒します。この落差の大きさが視聴者にはこたえられない面白さを与えています。
 「セーラームーン」でも、月野うさぎは普段はドジで泣き虫、ノーテンキな女の子ですが、それが正義のために変身して美少女戦士として悪と戦います。最近はこういう、表の顔と裏の顔とのアンバランスを描いている作品が多いように思われますが、普通の人間が超能力を発揮して活躍したいという願望が、こういう話を生み出しているかもしれませんし、「三つ目がとおる」もその路線の路線です。
 写楽は、昔栄えた三め目族の生き残りとして設定されています。このシリーズでは、今の文明の前に、高度に進んだ文明があったという前提で話が展開されていて、三つ目族も、超能力をフルに発揮して繁栄を極めていたとされています。三つ目族という発想は手塚治虫独自の大胆なものですが、かつて高度な文明があったという設定は、映画などでもよくされており、例には事欠きません。
 「三つ目がとおる」では、三つ目族が住んでいたのはレムリヤと呼ばれる大陸で、強大な王国を築いていました。2400年前、メソポタミア一帯を治めていたウル王朝も、東から船で侵入してきた三つ目族に滅ぼされていますし、三つ目族はアジア、アフリカ、南米にまで侵略のための軍隊を送っていたというふうに描かれています。 
 

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