漫画探訪30 「三つ目がとおる」3  三つ目族滅亡の原因 ピラミッドや酒船石に対する自由な解釈

 かつてあれだけ繁栄していた三つ目族が滅んだことについて、作者の手塚治虫は作品の中で次のように説明しています。レムニア大陸が沈没してしまったことも大きな要因ですが、それ以上に、文明が進みすぎて、生き物を殺し、山や川や海を汚し、自らの文明に毒されてしまったのが最大の原因だと。これはわれわれの現代文明に対する作者が発している大きな警告でもあります。
 科学文明が高度に発達したために、地球環境を破壊し、人類の将来も危なくなってきている状況になっているのが現代であり、手塚治虫も現代人が三つ目族のようなことにならねばよいがと考えていたのでしょう。三つ目族も大量の廃棄物を人工の革の袋に詰めて海底に捨てましたが、それが現代になって浮かび上がり、漂着するという話も描かれています。産業廃棄物の処理に困っている現代と考え合わせてみると、笑えない話です。
 このシリーズを読めば、考古学や歴史に対する手塚治虫なりのユニークな発想がうかがえますが、これもマンガだから許されることであり、読者も自由にその世界に遊ぶことができます。
 マヤ族やインカ族は三つ目族を敬っているところや、アメリカのイリノイ州にあるカホモア・マウンドを作ったのはネイティブ・アメリカンの祖先ではなく、三つ目族としている点、あるいはピラミッドは宇宙の精気を集める装置だという点など、彼独自の発想です。
 あるいは飛鳥の酒船石は薬を調合する装置であって、古代の支配者が人民を自分たちの命令通りに動く人形のようにするための毒薬をここで作っていたと言います。もっとも、酒船石に関しては、その近くで亀の形をした水槽が見つかり、酒船石の溝から流した水を溝や樋などで、水槽まで引いたのではないかという説が有力になっています。しかし、それが何のために使われたかは意見が分かれています。お祭りをした時に使ったのか、庭を飾るためのものだったのか、よく分かりません。
 京都の竜安寺の石庭は、三つ目族の島をかたどって作られた海図であるとしているのも興味深いものがあります。三つ目族が日本にも渡ってきて、天狗の正体も三つ目族であったことも紹介されています。
 南米ペルーにある巨大な地上絵も、一体誰が何のために書いたのか大きな謎ですが、こういう古代のロマンに思いを馳せることが好きな人には、「三つ目がとおる」はお奨めの作品です。

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