漫画探訪31 「アンパンマン」の作者やなせたかし氏のインタビュー記事1 正義とは飢えた人を助けること

 拙ブログで「アンパンマン」分析をしたことがあります(2007年6月21日から26日付)が、「アンパンマン」の作者であるやなせたかし氏が朝日新聞夕刊の「人生の贈りもの」と題するインタビュー記事に出ておられます。91歳で現役の漫画家ということ自体素晴らしいことであり、こちらも元気をもらったような気分になりますが、やなせ氏はそのインタビュー記事でこれまでの人生を振り返って、その道程を語っておられます。
 その記事には、やなせたかし氏の考える正義を具現化したのがアンパンマンだと改めて書かれています。武器を持たないアンパンマンが飢えた子どもに自分の顔をちぎって食べさせるのが本当の正義であり、そういう考えになったのは、やなせたかし氏の戦争体験が大きかったと云います。
 彼は兵隊として中国に行きましたが、彼の部隊は学校を作って勉強を教えたり食べ物をあげたりして悪いことは何もしていませんでしたし、彼も軍閥に苦しんでいる中国の民衆を助けなければいけないという意識を持っていました。しかし、戦争が終わると、やなせ氏たちの部隊は、「悪鬼のような日本軍」とののしられ、石をぶつけられました。むろん、彼の部隊のようないいことをした例はそれほど多くなかったと思われますし、日本軍が実際に中国などで残虐な行為をしていたというのも厳然たる事実です。
 やなせたかし氏の弟が人間魚雷「回天」の訓練を受け、フィリピンに向かう途中、輸送船ごと撃沈されて戦死したということもこの記事を読んで初めて知りました。ある国の正義が別の国には正義となるとは限らず、正義は転換するともやなせ氏はおっしゃっています。戦争中の日本人の多くは、自分たちこそが正義だと思っていたでしょうし、現在でもアメリカは自分の国が正義と思ってアフガニスタンやイラクに攻めて行きましたから、事情は全く変わっていません。やなせ氏は逆転しない正義というのは、飢えている人を救うことであり、アンパンマンはそれを実践しているとおっしゃっています。
 「アンパンマン」に登場するキャラクターを今まで2000以上生み出したと云いますから、その漫画の息の長さがわかります。私も最近の新しいキャラクターはよく知りません。私が子供と一緒にテレビで見ていた頃は、メロンパンナちゃんもまだ登場していませんでした。2009年3月までに登場したキャラクター数1768は、ギネス世界記録にも認定されているとのことです。
 アンパンマンが誕生したのが1973年、やなせ氏が54歳の時であり、テレビ放映されたのがその15年後ですから、69歳になって自分の作った漫画で全国的に有名になったというわけです。キャラクターは複数の人で考えていると私は思っていましたが、おもに食べ物にちなんだキャラクターはすべてやなせ氏自身が考えているそうです。2、3時間もすれば反射神経でキャラクターを思いつくとおっしゃっています。その創造力がなお盛んなことに拍手を送りたくなります。

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