テーマ:文学

世界文学探訪5 「やけたトタン屋根の上の猫」2

   今回も写真は内容と直接関係ありませんが、やはり猫キャクラクターの「ひこにゃん」が登場している彦根城築城400年祭のパンフレットを載せました。  さて、「やけたトタン屋根の上の猫」ですが、作者が作り変えたのは第3幕であり、「おじいちゃん」がブリックによって自分が癌に冒されているのを知った後の部分です。文庫本では2種類の第3幕が、…
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世界文学探訪4 テネシー・ウィリアムズ「やけたトタン屋根の上の猫」1

   写真は直接内容とは関係ありませんが、本の題名が「猫」ということで、猫キャラクターの「いしだみつにゃん」「しまさこにゃん」「たににゃん」のキャラクターグッズを並べてみました。  最近、テネシー・ウィリアムズの3編の戯曲を読み直しましたが、「欲望という名の電車」にしろ「ガラスの動物園」にしろ、題名自体が冴えており、才能を感じさせ…
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フランス文学探訪11 「東方綺譚」の「老絵師の行方」4 絵や物語などに入ってゆく話

 江戸川乱歩の作品に「押絵と旅する男」というものがありますが、人間が絵の中に入ってゆくという点で、「老絵師の行方」と共通しています。絵の中の女に惚れた男が、自分も絵の中に入っていく話ですが、その方法がふるっています。遠眼鏡をさかさまに覗くことによってであり、それはありえないことなのですが、この話自身がそもそも非現実的なのです。絵の中の女…
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フランス文学探訪10 「東方綺譚」の「老絵師の行方」3  果心居士について

 果心居士を扱った作品として、小泉八雲の「果心居士のはなし」と司馬遼太郎の「果心居士の幻術」がありますが、内容も全く違いますし、関わる武将もずれています。前者は信長と光秀です。仏画を見せて仏の道を説いていた果心居士の地獄絵が真に迫っており、評判を取っていたため、信長がその絵を譲ってほしいと頼んだところ、黄金百枚ならと答えたので、信長はう…
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フランス文学探訪9 「東方綺譚」の「老絵師の行方」2 

 絵師の汪佛と弟子の玲は突然、天子の元に連れてゆかれます。どのような罪があるのかと問う彼らに対して、天子は自分は父が愛好した汪佛の絵で育ったため、世の中は絵のように美しいものだと思ってきたが、実際はそのようなものではなく、おまえの絵に騙されたと汪佛を責めるのです。そしてその罰として、おまえの目を焼き手を切ると言います。  この話は現代…
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フランス文学探訪8 ユルスナール「東方綺譚」の「老絵師の行方」1

 「東方綺譚」は白水社のUブックスに入っている作品です。39年に初版されていますが、76年に改訂された際、ユルスナールはかなり文章を直しており、作品の数も10編が9編になっていますが、むろん、今読めるのは改訂版の方です。  「老絵師の行方」は中国の漢の時代の話であり、短編集の最高傑作と言っていいほどです。老画家汪佛と弟子の玲の話ですが…
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フランス文学探訪7 須賀敦子「ユルスナールの靴」

 フランスの女性作家ユルスナールの作品を取り上げますが、その手がかりとしてまずは須賀敦子の著書「ユルスナ-ルの靴」に触れたいと思います。作家ユルスナールのたどった跡を著者が訪ねるというものですが、ユルスナールの人生をたどりながら、著者自身の作家に寄せる思いや自身の体験談も交え、全体が評論というより、独自の味わいのある名エッセイと言え、須…
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世界文学3 アンデルセン「人魚姫」と「リトル・マーメイド」

 以前勤めていたS高校で国際理解という科目を担当したことがありました。国際教養科という専門科があって、その専門科目の一つでした。私はそれぞれの国に伝わる民話や昔話を取り上げ、それを比較分析することによって、それぞれの国の文化や国民性の違いを考え、異文化理解を深めようと試みました。その一環として、アンデルセンが書いた童話「人魚姫」とアメリ…
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フランス文学5 「赤と黒」3 神学校における主人公

 神学校の実態をジュリアンは知ることになりますが、当時の地方の神学校の実情を反映しているのかどうかは私にはよく分かりません。ほとんどが農民出身であり、無知な者が多く、ラテン語の意味もわからず暗誦して、食べることだけできればいいと考えている連中ばかりだと言うのです。良い成績を取ることを罪悪と考え、そのため勉強のできるジュリアンは一時期みん…
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 「マザーグースのうた」と「ひょっこりひょうたん島」

 「ダイハード3」の犯人のクイズにも使われた「マザーグースのうた」ですが、詩人谷川俊太郎の名訳があるのみならず、谷川俊太郎自身、それを朗読してテープに吹き込んでおり、それがまた実に巧みな読み方をしています。谷川自身、「詩のライブ」と銘打ったトークと詩の朗読の会を数多く開いていますから、朗読はお手の物です。そのテープは原文も英語で朗読され…
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映画探訪5 「ダイハード3」と「マザーグースのうた」

 犯人が出したクイズの中にイギリスの「マザーグース」の童謡から取られたものがありました。  セントアイブスに行く途中で出会った男に奥さん七人、その奥さんがそれぞれふくろを七つ持ち、その中には猫が七匹、どの猫にも子猫七匹。セントアイブスに向かうのは何人と何匹というものです。マクレーンたちは七に七を掛け、さらにそこに七と七を掛け、計算する…
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フランス文学4 「赤と黒」2 ジュリアンとレナール夫人の恋

 レナール氏は大製釘工場でもうけて、ヴェリエールの町長になった成り上がり者ですが、工場主であることを恥じています。もとはスペイン系の旧家であり、金以外のものをほしがるのは、今の金持ちでも名誉や勲章を求めるのと同じかもしれません。レナール氏はジュリアンの評判を聞きつけて、自分の息子の家庭教師にします。世間体や体裁を重んじている証拠であり、…
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フランス文学3 スタンダール「赤と黒」 ラテン語の新約聖書一冊を丸暗記した主人公

 フランス文学の名作であり、最初は大学時代に翻訳本で読みました。今回は三回目ぐらいで週末に少しずつフランス語で読んでおり、三ヶ月ほどかかってようやく前半を終わり、第二部に入っています。  主人公ジュリアン・ソレルと前半はレナール夫人、後半はマチルドとの起伏に富んだ恋の感情がスリリングに描かれていますが、最初読んだ時は、一瞬一瞬変化して…
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世界文学2 「イソップ寓話集」の「狐とブドウの房」

 有名な「イソップ寓話集」ですが、動物の話の後に、作者は必ずといっていいほど自分の意見や教訓を述べています。動物のことをたとえに出して、本当は人間について言いたいのです。たとえば、「ウサギとカメ」の話では、のろいカメが途中で眠ってしまったウサギに競走で勝った話をした後に、作者は生まれつき才能があってもおなおざりにしていると、しばしば努力…
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古典文学探訪23 「海幸彦山幸彦」

 「桃太郎」も「浦島太郎」も異界の地にいく話ですが、「古事記」「日本書紀」には根の国や黄泉の国に行くものだけでなく、山幸彦が海神(わたつみ)を訪問するという有名な話があり、浦島の子の話と共通する部分があります。 兄の海幸彦と道具を交換するのですが、弟の山幸彦は貸してもらった釣針を海の中に落としてしまい、同じものを返せと兄に責められ嘆…
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古典文学探訪22 「桃太郎」6 百合若伝説

 昔から自分たちに従わない国や異民族などを「鬼」と総称してきたのですが、鬼が島に住んでいたという発想は源為朝伝説に端を発するのでしょうか。「酒顛童子」は大江山に住んでいますし、吉備津彦命が退治した温羅も山城にこもっていますから、あくまで山であって海上ではありません。  鬼が島ということで言えば、百合若伝説というものがあります。もともと…
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古典文学探訪21 「桃太郎」5 源為朝の鬼が島行き

 平安時代末期の保元の乱を描いた「保元物語」で大活躍するのが源為朝ですが、その異本に遠島になった為朝が、鬼が島に渡る話が出てきます。為朝は為義の八男であり、義朝の弟に当たる人物ですが、身の丈が七尺といいますから、優に2メートルを超える巨漢であったことになります。左腕は右腕より4寸も長く、生来の弓の名人であったと書かれています。むろん、物…
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古典文学探訪20 「桃太郎」4 吉備津彦命

 桃太郎の話は各地に伝わっていますが、岡山では吉備津彦命(きびつひこのみこと)がその主人公とされていて、それは吉備津神社に伝わる縁起から来ています。前田晴人氏の「桃太郎と邪馬台国」でも、その伝承が紹介されています。垂仁天皇の時代、吉備の国に、百済の王子であった温羅(うら、おんら)が鬼となって悪事を働いていたのを、朝廷から派遣された吉備津…
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古典文学探訪19 「桃太郎」3 桃の霊力

 桃は中国では昔から邪鬼を払う霊力があると信じられてきました。その影響か、古事記にも桃の威力が発揮される場面があります。イザナキノミコトが黄泉の国から逃げ帰る際、追ってきた黄泉の軍勢たちに桃の実を三個投げると、彼らは逃げ帰ってしまうのです。その時に、イザナキノミコトは桃の実に向かって、「生きている人々が苦しみ悩む時には助けてあげなさい」…
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古典文学探訪18 「桃太郎」2 お供の犬、猿、雉

 桃太郎のお供は地方によって違いがあるようで、蜂やカニ、石臼、針、栗などが加わっている例などもありますが、一般的には犬、猿、雉であり、この点について前田晴人は「さる」「とり」「いぬ」の方角を表しており、鬼が島は西方にあるとの推論まで述べておられます。  落語に「桃太郎」という噺があり、その中で子供が父親に桃太郎が何を伝えようとする話か…
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古典文学探訪17 「桃太郎」

 まず桃太郎の話を坪田譲治の「日本むかしばなし集」で確かめてみましたが、いろいろと新しい発見がありました。川で洗濯していたおばあさんが大きな桃を取ろうとして最初は失敗して落としてしまいます。三度目に成功するのは西洋の昔話でもよく見られるパターンですが、この話では二回目で成功します。それほど桃が大きく普通ではなかったということを強調したく…
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フランス文学2 アニー・エルノー「シンプルな情熱」

 ハヤカワepi文庫に収録されている作品であり、多分に私小説な作品です。というより、この作家の作品全体が私小説の色合いが濃く、自分の体験をそのまま述べたり、父母の半生を描いたりしており、フランス文学では珍しいタイプの作家だと言えます。日本では田山花袋の「蒲団」以来、私小説の伝統が脈々と受け継がれており、たとえば今でも在日の作家ながら柳美…
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古典文学探訪16 「浦島太郎」5      

 前田晴人氏は「魏志」倭人伝に出てくる「投馬国」は出雲の国であると推定し、邪馬台国が魏との外交関係を結ぶのに交通路として山陰方面を利用し、丹後半島に魏との外港を設けていたと述べています。  浦島伝説はその名残が反映したものであり、「とこよ」や蓬莱は魏であり、浦島は魏への外交使節であったとの大胆な説まで立てています。「魏志」倭人伝の中に…
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古典文学探訪15 「浦島太郎」4

 「丹後国風土記」の浦島の話には後の人が詠んだ歌が最後についており、浦島が箱を開けなかったら2人は会えたであろうにと、見るなのにタブーを破った浦島に悲劇の原因があると語っています。箱を開けたのが悪かったという捉え方は後世までずっと一貫しており、変わりありません。亀姫がいるのは海の島にある「とこよ」のはずなのに、天から彼女の声が聞こえてく…
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古典文学探訪14 「浦島太郎」3

 「浦島太郎」の原型は「丹波国風土記」逸文であり、時代は雄略天皇期、場所は与謝郡日置里筒川村とあり、名前は「俊頼髄脳」と同じく水の江の浦島子となっています。亀を釣るのも一緒ですが、五色の亀であり、浦島子が一眠りすると亀が美女に変わっています。女は浦島が風流な人であると知って来たと言いますから、釣り上げられたのは偶然ではなく、言ってみれば…
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古典文学探訪13 「浦島太郎」2

 「御伽草子」の方は現代のわれわれが知っているものに近くなっていますが、それでもいろいろと違いがあります。やはり乙姫という名前は出てこず、亀が変身した女と竜宮城で夫婦として三年間暮らすという話になっています。  「俊頼髄脳」では地名が出ていませんでしたが、「御伽草子」では丹後の国と明示されていますし、主人公の名も浦島太郎と書かれていま…
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古典文学探訪12 「浦島太郎」

 前の学校の授業で、「俊頼髄脳」に載っている「水の江の浦島」を扱ったことがありますが、一般に知られている浦島太郎の話との相違点にポイントを置きました。「俊頼髄脳」は平安時代の末に、源俊頼が書いた歌論書ですが、その話があまりにもみんなが知っている浦島太郎の話と違うので、生徒はその内容に大いに興味を持ってくれ、授業がしやすかったのを覚えてい…
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古典文学探訪11 「一寸法師」

 「竹取物語」はちいさ子伝説の一つですが、それに関連して前田晴人氏が書かれた新書「桃太郎と邪馬台国」を読み直しています。氏はその本でちいさ子伝説の一つである「一寸法師」について論じています。前田氏とは前の職場でご一緒させていただいた先生で、古代史の研究家であり、著書も少なくありません。邪馬台国は大和にあったという説を唱えておられますが、…
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古典文学探訪9 「竹取物語」8

 「竹取物語」にはさまざまな昔話の要素が混在し、融合していますが、その一つに「天人女房譚」が挙げられます。これは「近江国風土記」逸文に見られるように、水浴びしていた天女の羽衣を男が隠して女房にする昔話ですが、最後は天女が羽衣を発見して天に帰り離別してしまうという結末が多いようです。かぐや姫も最後は天の羽衣を着て月に帰ってゆくという話にな…
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古典文学探訪8 「竹取物語」7

 「竹取物語」の帝は別格扱いだと書きましたが、むろん、権力者であることを誇示するところはあります。竹取の翁を召し出して、かぐや姫に入内を促すところもそうですし、かぐや姫が月に帰るのを阻止しようとして、2000人の武士を派遣するところも、帝だからこそできたことです。もっとも、後者は竹取の翁たちがかぐや姫との別れを嘆き悲しんでいるのを聞いて…
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