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zoom RSS テーマ「フランス文学探訪」のブログ記事

みんなの「フランス文学探訪」ブログ

タイトル 日 時
フランス文学探訪102  フローベル「ボヴァリ−夫人」3  結婚生活に失望・男と女の意識のずれ 
 ヒロインのエンマが結婚生活に失望するまで時間はかかりませんでした。夫はなんでも知っており、情熱の力や生活の技巧など、いろいろと教えてくれる存在だと彼女は信じていたのに、夫のシャルルはそういう理想とは全く違う人物だったからです。話は平凡だし、演劇にも行かず、剣も銃も扱えず、馬術も水泳もできず、がっかりさせられてばかりでした。しかし、シャルルの方は、美貌の妻を得て、大満足していたのです。幸福な夫の姿を見て、エンマは余計彼のことが恨めしくなります。  このシャルルのような夫は極端としても、男と女... ...続きを見る

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2019/05/21 23:22
フランス文学探訪101 フローベル「ボヴァリ−夫人」2 最初は年上の女性と結婚するボヴァリー 
 「ボヴァリ−夫人」という題が付いているものの、主人公は夫のシャルル・ボヴァリ−であり、彼の学校時代の描写からこの小説は始まります。転入生として教室に入ったものの、へまをしでかしてみんなの嘲笑を買うというみじめな姿が、まず描かれます。肝心のボヴァリ−夫人がなかなか登場しないという不満を昔は覚えたという記憶がありますが、お人よしで他人のことがよく見えないという欠点があったため、後に夫人のエンマに不倫を働かれても気づかなかったというストーリーの大事な伏線になっており、そういう意味でなおざりにはできな... ...続きを見る

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2019/05/19 18:26
フランス文学探訪100  フローベル「ボヴァリ−夫人」1 ロマンに憧れた夫人の悲劇 
 何ヶ月かかけてこの作品を原書で読みました。何度目かの読書ですが、久しぶりでしたので、新鮮な思いで読み続けることができました。  フローベルは1821年にルーアンで生まれました。父親は市立病院の外科部長でした。フローベルは中学生の時から文学に熱中し、数々の習作を書いています。19歳の時にパリ大学の法学部に入学しますが、籍を置いていただけで、結局、法律の勉強は断念して、文学に専念するのです。  彼が友達からリー町の開業医ドラマール夫人の事件を書くように勧められたのが27歳の時であり、それを... ...続きを見る

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2019/05/15 21:29
フランス文学探訪99 サガン「ブラームスはお好き?」2 恋人の浮気心は改まらず、主人公も孤独のまま
 ポールとシモンは一緒に暮らすようになりますが、ポールはロジェのことが忘れられません。それに周囲の者の目も気になります。ポールが若い男と付き合っていることで、人から嫌味を言われ、傷つきますし、こんな関係がいつまで続くのかと将来に対して不安を覚えます。ロジェも付き合っている映画女優からシェリー(いとしい人)と呼びかけられ、相手にそう呼ばれる筋合いはないと怒り出す始末です。映画女優との関係が一時的なもので、自分が本当にいとしいと思っているのはポールだと気づくのです。  ポールとロジェはそれぞれが... ...続きを見る

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2019/05/14 21:06
フランス文学探訪98 サガン「ブラームスはお好き?」1 恋人がいながらも孤独を感じる39歳の女性 
 この小説のヒロイン、ポールは39歳、室内装飾の仕事をしています。彼女には40過ぎのロジェという恋人がいますが、自由を楽しんでいるのは彼だけで、彼女自身は孤独を感じています。それもそのはずで、ロジェは彼女の部屋に泊まることはせず、別の女性とのアバンチュールを楽しむ遊び人です。彼女は自分を必要としてくれる男を求めていましたが、そんな時、室内装飾を頼まれた家の息子シモンと出会います。彼は25歳の美青年であり、一目見た時は自分の好みのタイプではないと彼女は思いますが、照れた様子を見せる彼に好感を抱き、... ...続きを見る

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2019/05/13 18:07
フランス文学探訪97  モーパッサン「手」2  手が襲うところを描写しないだけに、想像がふくらむ効果
 人間の手による犯行というのは、いかにも怪奇小説らしい趣きを備えています。ありえない話をいかに、本当らしく思わせるかが、作者の腕の見せどころですが、襲うところは全く描写せず、結果だけで示しているのが、ミステリアスで想像をたくましくさせます。手が這いまわっているところも、夢の中でしか出て来ませんし、墓の上で手が発見されたというラストシーンも不気味で効果的です。昔の怪獣映画でも、いきなりその怪獣の姿は出さずに、影を見せたり一部を見せたりして、思わせぶりなことをよくしていました。見ている方は焦らされて... ...続きを見る

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2019/05/12 18:57
フランス文学探訪96 モーパッサン「手」1  幻想的な小説・壁につながれた手による殺人
 モーパッサンが幻想的な作品を数多く書いていることはあまり知られていないかもしれません。この「手」という作品を知ったのは、小説ではなく、ラジオドラマでした。  この作品も、予審判事がみんなに不思議な話を語るという形式を取っています。場所はナポレオンが生まれ育ったコルシカ島です。この島は復讐の血で染まっていると予審判事は述べますが、事実、その島がそういう血なまぐさいイメージを持つものなのかは、私はよく知りません。しかし、この小説のテーマとよくマッチしているのは、作者の手並みの見事なところです。... ...続きを見る

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2019/05/11 23:35
フランス文学探訪95 サルトル「水いらず」「部屋」 人間の生理的、肉体的な面を強調 
 「水いらず」は短編集「壁」に入っている作品ですが、至って単純なストーリーであり、女主人公のリュリュが、性的不能の夫の元を飛び出して、恋人のところに走るものの、また戻って来るというだけの話です。性的な描写が物議を醸し出した作品ですが、彼女は「人間になぜ体なんかがあるのだろう」とつぶやき、人間の体に嫌悪感を抱きます。人間の生理的な部分に注目した彼女は、人を愛することができるなら、その人の何から何まで好きになるのが本当であり、腸も肝臓も腎臓も好きになれるはずなのに、実際はそうでないことに矛盾を感じる... ...続きを見る

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2019/05/11 00:10
フランス文学探訪94 サルトル「嘔吐」2 実存主義的なものの考え方・事物存在とは根本的に違う人間存在
 人間の存在は事物の存在とは根本的に違うということにサルトルは思い至りました。そのことを「実存は本質に先立つ」という言い方で彼は言っています。これを椅子という例で言いますと、椅子がどういう形をして、何のために使うものかというイメージ・概念をわれわれは持っています。それが椅子についての本質というものです。  ところが、人間という存在はそれとは違うと言うのです。まず一人一人が別個のものとして存在しており、それがもっとも重要だというわけです。むろん、人間の本質というものはあるのですが、その本質より... ...続きを見る

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2019/05/09 23:53
フランス文学探訪93 サルトル「嘔吐」1 事物が存在しているのは偶然だと知る 
 サルトルは1905年にパリで生まれました。高等師範学校を出ると、教授資格を取り、高等中学校で教えました。36年に「想像力」という哲学書を出版し、翌年に短編小説「壁」を雑誌に掲載し、さらにその翌年に小説「嘔吐」を出版しています。彼の活動は、哲学書・小説・戯曲と多岐にわたっていますが、彼の唱えた実存主義がいずれの作品にも色濃く表れています。プライベートな面では、生涯の伴侶として、「第ニの性」などの著作で名高いヴォーボーワールという女性がいましたが、結婚はしないままでした。サルトルは80年に75才で... ...続きを見る

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2019/05/08 11:27
フランス文学探訪92 カミュ「異邦人」5 主観的な時制である複合過去形で綴った小説  
 この小説はフランス語としてかなり特異な文体で描かれています。日本語でも普通、小説は過去形で書かれますが、この点ではフランス語も同じです。ただ、フランス語には単純過去形と複合過去形の二つがあり、小説の時に使われるのは単純過去形が一般的です。これは過去の動作を客観的に述べるものであり、現在とは関係のない、完全に過ぎ去った過去の行為を述べるものです。それに対して、複合過去形は過去の行為や状態を、語り手の経験した事実として述べるものであり、言ってみれば主観的な時制です。  カミュは敢えて複合過去形... ...続きを見る

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2019/05/06 00:04
フランス文学探訪91 カミュ「異邦人」4 孤独に生き死んだ主人公・小説「ペスト」とは対照的
 カミュ自身が、このムルソーの生き方を肯定しているわけではありませんし、私ならずとも、母親の年も知らず、死んだ母親の顔も見ようとしなかったことや、愛もなく女性との関係を続けていることや、あげくの果ては自分とは何のかかわりも持たない相手に対して、銃を何度も撃って死に至らしめる彼の行為を是認できるはずはないでしょう。カミュも意図的にこういう主人公を作り上げて、自由な意思のまま自然に生きさせたらどうなるかを小説の上で実験したのです。カミュの小説の中にはこういう「反抗的人間」がよく登場しますが、ジイドの... ...続きを見る

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2019/05/04 10:34
フランス文学探訪90 カミュ「異邦人」3  「不条理の文学」・自然のままに生きる主人公 
 この小説は「不条理の文学」と呼ばれています。毎日同じようなことを繰り返している生活に空虚と倦怠を感じている人の意識を「不条理の意識」と作者は規定しています。ムルソーもその一人であり、彼はありのままに生きようとして、それが社会と確執を起こし、殺人行為によって、断罪されるのです。自然のままに生きようとすることがいかに難しいかを表わした作品ですが、殺人行為だけでなく、彼の人間性が問題にされて、死刑判決を受けるのは理不尽だという読後感は拭えません。社会に抹殺されてしまったという印象を受けてしまいます。... ...続きを見る

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2019/05/03 17:54
フランス文学探訪89 カミュ「異邦人」1 太陽のせいで人を殺したと言う主人公 
 アルベール・カミュは1913年にアルジェリアで生まれました。彼が1歳の時、父が死に、アルジェという町で母と共に貧困の中で育ちました。「異邦人」の舞台もアルジェです。カミュはアルジェ大学を出た後、職を転々としていますが、やがてアルジェやパリで新聞記者になり、詩的エッセイを書くなどして文学活動もしています。第二次世界大戦の折には、ドイツに対する抵抗運動に加わりました。「異邦人」が書かれたのは、パリがドイツの占領下にあった1942年のことでした。戦後の47年には大作「ペスト」を世に出しました。57年... ...続きを見る

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2019/05/02 00:07
フランス文学探訪88 ジイド「法王庁の抜穴」4 ドストエフスキイの影響・人間の奥底に潜む闇   
 ラフカジオの人物造型には、多分にドストエフスキイの影響があると思われます。ドストエフスキイをフランスに初めて紹介したのは、ジイドでしたし、ラフカジオと「罪と罰」のラスコーリニコフには共通点があります。両者共に殺人を犯します。ラスコーリニコフの方は、英雄には人を殺す権利があり、自分がそうであるかを確かめるために、金貸しの老女を殺すのですが、彼によれば、人類には英雄と一般人のニ種類あると言います。  ラフカジオやプロトスは学生時代、自分たちは人に同じ顔は見せない「利口者」という種族であると特別視... ...続きを見る

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2019/05/01 00:25
フランス文学探訪87 ジイド「法王庁の抜穴」3   「動機なき殺人」が最大のテーマ
  この小説の最大のテーマは「動機なき殺人」ですが、衝動的に殺したのがラフカジオに全く無関係の人物ではなかったことが後で分かりますし、夢のような気持ちで人を殺して以来、悪夢の中で彼はもがき苦しむようになります。ラフカジオは首尾一貫しないのが人間であるとの持論を持ち、小説に不満を持っているのは、主人公が作家の主張通りに行動してゆく、すなわち主人公が作者の傀儡(かいらい)的な存在になっていることに対してなのです。ジュリユスはそういうラフカジオの不満を受けて、行動に首尾一貫しない主人公、まるで遊戯のよ... ...続きを見る

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2019/04/29 09:15
フランス文学探訪86 ジイド「法王庁の抜穴」2  絡み合い、錯綜した人間関係
 第一章では、無神論者の秘密結社員アンテムが動物実験三昧の生活を送っていたのに、ある時、聖母の像に乱暴を働き、その夜、聖母が夢に現れたのをきっかけにして、自分の足が治るという奇跡が起こります。彼はそれで信仰心が芽生え、カトリックに帰依しますが、教会の援助は得られず、破産同然の身の上になります。   第二章では、アンテムの義弟の作家ジュリユスが、余命わずかな父親から、隠し子のラフカジオの調査を頼まれます。ラフカジオはプライドの高い反抗児ですが、初めて父親の存在を知り、父との対面を果たし、ジュリユ... ...続きを見る

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2019/04/28 22:56
フランス文学探訪85 ジイド「法王庁の抜穴」1 リアリズム小説からの脱却・作品への「私」の介入 
 「法王庁の抜穴」は以前は文庫で出ていましたが、今は本を手に入れるのが難しいのではないでしょうか。この作品を取り上げたのは、個人的なことになりますが、大学の卒論で取り上げたからです。もっとも、卒論ではもう一作「贋金つかい」にも少し触れてはいますが。「法王庁の抜穴」の内容に入る前に、卒論のテーマを少し述べておきたいと思います。  二十世紀文学は、十九世紀のリアリズム小説の枠からどのようにして抜け出すか、その方法の模索から始まりました。十九世紀のリアリズム小説では、作者は三人称という形を用いるこ... ...続きを見る

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2019/04/27 09:17
フランス文学探訪84 ジイド「田園交響楽」2  カトリックと新教
 牧師は新教であるのに対して、ジェルトリュードは、牧師の息子のジャックの勧めに従って生前、カトリックに改宗していました。カトリックと新教の問題はなかなか難しいのですが、ジャックが改宗したのは、父親に対する反発ゆえのことだと思われます。カトリックでは罪悪観が厳しく、それに対する批判がこの小説には込められている気がします。あまりにも罪というものを意識し過ぎたジェルトリュードの悲劇的な最期を描いているからです。新教はあくまで聖書に忠実であろうとします。小説の中にも、「福音書をすっかり探してみたが、戒律... ...続きを見る

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2019/04/26 20:38
フランス文学探訪82 ジイド「狭き門」2 信仰の犠牲になった二人・作者の苦悩が反映 
 相思相愛の者同士がどうして結ばれないのか、読むたびにもどかしい思いがする作品です。無宗教の私などは、アリサは信仰の犠牲になったのだと、単純に考えてしまいます。現世の幸せを求めず、天上の愛にすがろうとするのは美しいことだとはいえ、主客転倒しているような気がしてなりません。  このアリサにはモデルがあって、ジイドが結婚したマドレーヌといういとこの女性ですが、小説の設定とよく似た状況になっています。男より年上であったこと、母親の不倫に苦しみ、余計信仰にすがることになったことなど。しかし、決定的に... ...続きを見る

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2019/04/24 16:44
フランス文学探訪81 ジイド「狭き門」1  恋人の信仰の邪魔をしているのが自分だと思い身を引く女性
 アンドレ・ジイドの小説の中で一番有名なのが、「狭き門」でしょう。今でも難関大学などに入るのは「狭き門」だという言い方をします。もともと聖書にある言葉で、「力を尽くして狭き門より入れ」というキリストの言葉から来ています。信仰に入る道がいかに困難かを述べた言葉です。  この小説の語り手はジェロームという青年ですが、彼は二つ年上のいとこのアリサのことが好きになり、彼女も同様に彼を愛するようになります。アリサの母が男と家を出てしまったということもあり、アリサはますます内向的になり、信仰によりどころ... ...続きを見る

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2019/04/23 16:43
フランス文学探訪80 「チボー家の人々」7 アントワーヌの安楽死・国際機関の必要性  
 アントワーヌは最後まで宗教にすがることはせず、司祭の言葉も受け入れませんでした。体が衰弱し、声も出なくなり、ベッドから立ち上がることもできなくなった時、最後の力を振り絞って自分に安楽死の注射を打ったのです。時に1918年11月。第一次世界大戦終戦間際のことでした。  彼の最後の日記は、自分が死ぬまでの病状をつぶさに語っており、臨床記録として大いに役立ったでしょうし、彼もそのために記録を残したのです。私は正岡子規の「病床六尺」「仰臥漫録」に匹敵するものだと思っています。むろん、一方はフィクシ... ...続きを見る

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2019/04/21 22:45
フランス文学探訪79 「チボー家の人々」6 アントワーヌの残した日記・チボー家の跡取りへの忠告  
 アントワーヌが最後に残した日記が、小説のラストを飾ることになるのですが、これがなかなか奥深い内容になっています。彼は自分の命が残り少ないことを自覚していますし、医者として、自分の体の状態を誰にもましてよく分かっているのです。彼はそれまで自らを誇り、精力的にばりばりと活動してきただけに、病気の自分との落差を覚えて、最初はショックを受けます。しかし、次第に自分の病状を受け入れ、病気になることによって、今まで見えなかったことが見えてきたと悟るようになったのです。彼は自分の未来をジャックとジェンニーの... ...続きを見る

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2019/04/20 10:35
フランス文学探訪78 「チボー家の人々」5  戦争が変えた兄弟の運命 
 ジャックはジェンニーをパリに残したままスイスに帰りますが、使命感はかえって高まり、戦争が始まってからも、反戦を呼びかけるビラを双方の前線に配るべく、仲間と飛行機に乗り込みます。  しかし、その飛行機が事故を起こして墜落し、操縦士は死に、ジャックは重傷を負います。フランスの兵士たちはジャックをスパイと見なし、彼を担架に乗せて運びますが、敵に追われ、退却を余儀なくされる途中で、足手まといになったジャックはフランス兵士に撃ち殺されてしまいます。なんともやり切れないジャックの最期ですが、戦争とは愚... ...続きを見る

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2019/04/18 10:43
フランス文学探訪77 「チボー家の人々」4 第一次世界大戦前の反戦運動と頓挫
 この大河小説は「1914年 夏」という部分が突出して異様に長く、小説を前半・後半に分けた場合、その後半の大部分を占めており、いかに作者がこの部分に重きを置いていたかが分かります。この年の夏と言えば、第一次世界大戦が勃発した時であり、この小説はその前後のことを日に追って実に克明に描いています。  一番の驚きは、みんなが戦争に賛成したわけではなく、各国で労働者を中心とした反戦運動が大規模に起こっていたことであり、それはインターナショナルのうねりとなって一時は戦争開始を防げるのではないかという期待... ...続きを見る

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2019/04/17 00:09
フランス文学探訪76 「チボー家の人々」3  悶え苦しむ父を安楽死させた医師アントワーヌ 
 父親のオスカールはジャックが自殺したと思い込んで体調を崩し、やがて寝たきりの生活になり、余命いくばくもない状態になってきます。その最期の姿はなんともすさまじく、見苦しいものでした。死を前にして、今までの信仰は何の役にも立たず、司祭の慰めの言葉も拒むほどでした。今までの彼の信仰が本物ではなかったという証拠ですが、司祭に模範的な死を迎えた方が後のためになると諭され、ようやく心が収まるのです。地位の高い人ほど死に際は見苦しいと、ある看護士が講演で言っていましたが、オスカールの場合も同様です。  ... ...続きを見る

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2019/04/15 23:58
フランス文学探訪75 「チボー家の人々」2 権威主義的な父、再度家出するジャック  
 アントワーヌとジャックの父親であるオスカールは敬虔なカトリック教徒であり、学士院会員を始めとして法学博士、県選出代議士、パリ司教管区カトリック事業委員会名誉総裁など数々の肩書きを持つ名士でした。彼は息子のジャックが家に戻った後も反抗的姿勢が変わらないのを見て取り、自分が経営する少年の更正施設に入れてしまいます。アントワーヌはジャックの様子を見に行きますが、監禁と懲罰によって、精神的な自由を奪われ、無気力に陥っている姿を知って、これではかえって本人のためにならないと、父親に直談判して、自分の責任... ...続きを見る

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2019/04/14 11:38
フランス文学探訪74 「チボー家の人々」1 理性的な医者の兄と、反逆児の弟を軸とした大河小説 
 この三月末で、「ヤフー」のホームページサービス「ジオ・シティーズ」が閉鎖されましたが、そこに掲載していた「フランス文学探訪」の方も拙ブログで順次紹介してゆきたいと思います。 ...続きを見る

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2019/04/13 11:07
フランス文学探訪73 モーパッサンの小説「ジュール叔父」2 金持ちだったはずの叔父が牡蠣を剥いて売る
拙ブログ5月27日付記事「モーパッサンの小説『ジュール叔父』」の続きです。  姉の結婚式の後、家族みんなで船に乗り込み、沖にある英国領のジャージー島に旅行に行きます。お金のない彼らにとっては、そこが船に乗って2時間で行ける手近な海外旅行先であり、みんなはそれを楽しみにしていました。家族みんなで新婚旅行に行くというのも面白いですが、ジャージー島へ行くという意味合いはそれだけではなく、異国の島の人々の貧しい暮らしを眺めに行くためでもあるというのですから、そういう姿を見て、自分たちの生活はそれ... ...続きを見る

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2012/06/09 23:56
フランス文学探訪72 モーパッサンの小説「ジュール叔父」1 見栄を張って日曜に正装する貧しい一家
 フランス語でモーパッサンの小説「ジュール伯父」を読み直しました。「ジュール伯父」を初めて読んだのは、中学校時代の国語の教科書においてでしたが、「牡蠣」の殻を剥いている場面と、貧しい一家が日曜日は見栄を張って正装して出かけるところが、妙に強い印象になって残っています。今回読み直してその時の思いがまた蘇りましたし、やはり短編の名作であると実感しました。  この小説については、9年前にホームページで記事にしたことがあり、重複する部分も多いのですが、改めて取り上げます。  この小説は、ジョゼフ... ...続きを見る

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2012/05/27 23:57
フランス文学探訪71 ・推理小説探訪20  アルセーヌ・ルパンのシリーズを五つの観点から分類
 アルセーヌ・ルパンが登場する作品いくつかを次の五つの観点から分類しました。これは私が適当に思いついたもので、一つの目安に過ぎないことを断っておきます。  A、ルパンが名探偵ぶりを発揮する話。  B、ルパンが怪盗としての面を出している話。  C、ルパンが物質的な利益を得た話。  D、ルパンの恋が描かれているもの(これは相手に思われるものも含みます)。  E、ルパンが別の人物になりすまし、読者にも分からない話(ルパンが別の名前で登場しても、明らかにそれがルパンと読者に分かる場合は除きます... ...続きを見る

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2012/02/07 23:47
フランス文学探訪70  アベ・プレヴォ「マノン・レスコー」3 自業自得だという結末・小説に現れる地名
 友人のティベルジュはアメリカまでドリュを追いかけてきて、マノンを喪って失意のどん底にいるドリュと再会します。この時、ドリュは今まで自分のしてきたことを反省しますから改心の兆しが見えており、ティベルジュもわざわざ遠い地までやって来た甲斐があると喜びます。ここのところを見れば、信仰が勝利したという結論が出ており、この小説が発禁処分までいくのは行き過ぎという思いを私は持ちますが、それは現代人だからでしょうか。ドリュは父親が死んだという知らせを受けて、これも自分の犯した罪深いことが原因したのではないか... ...続きを見る

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2011/04/18 23:16
フランス文学探訪69  アベ・プレヴォ「マノン・レスコー」2
「マノン・レスコー」の著者と設定されている、その「ある貴族」は二度主人公のドリュに会ったことになっています。一度目は北フランスのパシィで、アメリカに流刑になるマノンを送ってゆく哀れなドリュの姿を見ます。金に困っていたドリュに著者は金をめぐんでやるのですが、それから二年後、カレーで前よりもやつれた彼に再び出会います。「カルメン」でも同じように、著者の存在があり、やはり男が愛する女との過去のいきさつを語るという手法が取られています。  グリュが良家の息子であるのに対して、マノンは庶民の娘であり... ...続きを見る

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2011/04/14 23:52
フランス文学探訪68  アベ・プレヴォ「マノン・レスコー」1 作者の生涯と押収され焼かれた小説
 小説「マノン・レスコー」の作者のアベ・プレヴォは1697年に、北フランスのピカルディーのエダンで生まれました。父親は王国評定官や代訴人を務めたブルジョワジーであり、アベはその家の五人兄弟の次男でした。14才の時に母親がなくなり、エスイタ会の中学校に入れられます。しかし、途中で中学を退学した後、彼はパリの神学校に入ったり、軍隊に入ったり、また神学校に戻ったりと転々とした生活を送っていますが、いろいろ放埒なこともしていたようで、それが「マノン・レスコー」の主人公の人生にも反映されているのかもしれま... ...続きを見る

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2011/04/13 23:59
フランス文学探訪67  「ルパンのシリーズ」29  「ルパンの結婚」 男爵家の名は実在する地名 
 短編「ルパンの結婚」は、ルパンの結婚がトリックとして使われる話で、発想がユニークです。バンドーム公爵の娘アンジェリックとルパンの結婚の招待状が、公爵の知人のもとに届きます。偽の結婚招待状であり、さらに公爵自身のところにもルパン自身から電話がかかって来て娘との結婚のことを告げますから、当然、公爵は怒ります。新聞にもこの結婚のことがでかでかと書き立てられます。  このバンドーム公爵家はブルターニュ第一の名家であるサルゾー男爵家の末裔という設定です。アンジェリックには三人の従兄弟がいて、いずれも彼... ...続きを見る

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2011/01/07 23:58
フランス文学探訪66   「ルパンのシリーズ」28 「白鳥の首のエディス」2 「麦がらのストロー」
戦い 「白鳥の首のエディス」の話に出てくる地名をたどりますと、最初タペストリーが盗まれたのは、ブレスト発の列車からであり、レンヌ駅に着いた時にはなくなっていました。それが発見されたトランクは、パリのサン・ラザール駅に預けられていたものでした。いずれの駅も実在します。大佐の家はフェザンドリー街とデュフレノ街の角にある庭園内の奥まったところだと書かれていますが、この両方の通りも実在します。  なお、タペストリー12枚は、ノルマンディー公ギョームがイギリスを征服する時のことを描いたものであり、「白鳥... ...続きを見る

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2010/12/24 23:59
フランス文学探訪65  「ルパンのシリーズ」27 短編「白鳥の首のエディス」1 タピストリー盗難
 「ルパンの告白」の中に載っている短編「白鳥の首のエディス」は珍しくガニマールが活躍する話です。もっとも、最後にはまんまとルパンに逃げられてしまうのですから、ルパンが一枚上という構図には変わりないのですが。  「私」(ルパンの友という設定)とルパンの会話から話は始まり、ガニマールが功績を立てた「白鳥の首のエディス」についての詳細を「私」に語ります。「赤い絹のマフラー」では、あまりにガニマールが散々な描かれ方をしたのを償う意味で、この話が作られたのかもしれませんが、ガニマールの視点でこの事件を見... ...続きを見る

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2010/12/22 23:59
フランス文学探訪64  「ルパンのシリーズ」26 短編「赤い絹のマフラー」2・「うろつく死神」
 「赤い絹のマフラー」の話の舞台となっている地名を追いますと、ガニマール主任警部が怪しい動きをする人物2人に気づいたのは、ぺリゴレース街であり、それから2人の後を追ってグラン・タルメ並木通り、フリードランド並木通り、フォーブール・サン・トノレ、エリゼー宮の前を経て、シュレーヌ街の古ぼけた家に入ると、そこにルパンがいたという展開になっていました。その跡を現在のパリの地図で辿ると、辿ることができました。通りの名前は全く変わっていませんが、全体でかなりの距離です。そこをのこのことガニマールが付いていっ... ...続きを見る

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2010/12/17 23:58
フランス文学探訪63  「ルパンのシリーズ」25 短編「赤い絹のマフラー」1 何重にも騙される警部
 「赤い絹のマフラー」は短編集「ルパンの告白」に入っており、ガニマール主任警部がルパンに手玉に取られる話ですが、ルパンの名探偵ぶりが如何なく発揮されるのに対して、ガニマールは終始道化役で、操り人形のような存在になっているのが、なんとも気の毒です。  ガニマールが街を歩いていると、妙なことをしている男と少年を見かけ、その後を尾行してゆきますと、古ぼけた家に入りました。そこにルパンが待っていましたが、ガニマールをおびきだすためにルパンがはかったことでした。こういう始まり方が見事であり、読者は思わ... ...続きを見る

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2010/12/16 23:43
フランス文学探訪62 バルザック「従妹ベット」3 報われぬ人生?借金苦の中で構築した壮大なドラマ 
 この小説で一番損な役割を与えられているのはアドリーヌです。どれだけ夫のユロ男爵に尽くしても、少しも報われないまま亡くなったというわけですから。しかし、これは人生の真の姿を表していると云えるかもしれません。本当に報われる人というのは、どれぐらいの割合でいるのでしょうか。ほんの一握りであり、大半の人は無念な思いを抱きつつ死んでゆくのではないでしょうか。アドリーヌに損な役割が振られ、ユロ男爵が得をするという、なんとも心憎いばかりの、この小説の結末です。  バルザックの小説には頻繁にお金の問題が出て... ...続きを見る

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2010/11/20 23:13
フランス文学探訪61 バルザック「従妹ベット」2 登場人物たちは哀れな末路を辿るも一人懲りないのは?
 ユロ男爵はヴァレリーに金を貢ぎ、さらにヴァレリーの願いによって、ユロが陸軍省経理局長の地位にあることから、ヴァレリーの夫のマルヌフを重要ポストにつけてしまいます。ユロ家は借金がかさみ、どんどん落ちぶれていきます。アドリーヌも夫の放蕩ぶりを知って、手の震えがとまらない神経症にかかってしまいます。ベットはそういう従姉の姿を見てしてやったりと思い、復讐心を満足させます。  ユロは公金横領事件の罪を問われ、陸軍省経理局長の職を追われます。アドリーヌの叔父は獄中で自殺しますし、ユロ男爵の兄のユロ元帥も... ...続きを見る

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2010/11/19 22:37
フランス文学探訪60 バルザック「従妹ベット」1 玉の輿に乗った従妹に仕返しようとパリに来るヒロイン
 この小説は1838年から46年にかけての、およそ8年間にわたる話です。ヒロインはベットですが、ユロ男爵が陰の主役と言ってもよく、彼のどうしようもない愛欲がテーマだと言っても過言ではありません。ハッピーーエンドになるのかと思わせておいて、それがどんでん返しになります。  ベットはロレーヌの貧しい農民の娘であり、彼女の従姉のアドリーヌが美貌に恵まれ、小さい時から自分が犠牲にされてきたのを根に持って、ユロ男爵と結婚して玉の輿に乗ったアドリーヌに仕返しをするべくパリに出てきます。アドリーヌは貞淑な... ...続きを見る

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2010/11/17 23:12
フランス文学探訪59  「ルパンのシリーズ」24 「ルパン対ホームズ」5 現在も辿れる小説の地名3
 ホームズは金髪婦人の素性を突き止め、彼女を追及しますが、もう少しのところで、ルパンにとらわれてしまい、パリから車で拉致されます。マント、ベルノン、ルーアン、コードベック、リルボンヌ、キルブフ(これらの地名は実際に地図に載っています)などを経て、セーヌ川沿いの小さな河岸に停泊しているヨットに乗せられるのです。行き先はイギリスのサザンプトン(ここも地図に記載されています)。  しかし、ホームズは機転をきかせて見事に戻ってきます、ルパンのアジトがあったのはクルボー街(実際にある地名です。オートレッ... ...続きを見る

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2010/11/13 00:22
フランス文学探訪58  「ルパンのシリーズ」23 「ルパン対ホームズ」4 現在も辿れる小説の地名2
  男爵が所持していた青ダイヤを競売で買った伯爵夫人が、そのダイヤを盗まれた城館の場所は書いていませんが、アミアン市(パリ盆地の北に位置し、ピカルディー地方の中心。カレーとパリとの中間あたり)の警察に届け出たとあり、またその城館がソンムの湾内を見晴らすことができるとありますから、アミアンの近くだと思われます。ソンムは実在する川の名前です。  ガニマール警部が事件の関係者を集めて、金髪婦人とおぼしき容疑者の女性の面通しを行なうのが、ボワッシー・ダングラ街(コンコルド広場のすぐ北側に位置し地図にも... ...続きを見る

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2010/11/11 23:46
フランス文学探訪57 「ルパンのシリーズ」22 「ルパン対ホームズ」4 現在も辿れる小説の地名1
 男爵の娘の家庭教師であるドマン嬢が出入りしている家から出てきたブレッソンという男の後をホームズとガニマールは付けますが、そのブレッソンは手に持っていた荷物をセーヌ川に投げ込み、自殺してしまいます。その川に投げ込まれたものを巡っての、舟の中でのホームズとルパンの格闘があり、二人は川に投げ出されます。その場から生還したホームズが男爵家で事件のいきさつを語り、盗まれたランプが返還されます。  しかし、ドマン嬢が犯人だと思っていたホームズは最後にその間違いに気づき、真相が明らかにされます。このどんで... ...続きを見る

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2010/11/08 23:59
フランス文学探訪56 「ルパンのシリーズ」21 「ルパン対ホームズ」3
 次の事件はオートレック男爵が家で殺され、金髪の小間使いが姿を消した件です。男爵の指には高価な青ダイヤが残ったままでした。そのダイヤを競売で買った伯爵夫人が城館で集まりを主催した時、そのダイヤが盗まれてしまいます。これにも金髪の夫人が絡んでいました。  これらの一連の事件の解決をホームズが行ないますが、この三つの事件が起こった場所に彼は共通性を見つけて、全貌を明らかにしてゆきます。その種明かしは分かってしまえばなるほどと思うようなことであり、それを最初に考え出した者の勝ちというところです。 ... ...続きを見る

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2010/11/05 23:59
フランス文学探訪55 「ルパンのシリーズ」20 「ルパン対ホームズ」2
 「ルパン対ホームズ」では、ホームズよりむしろ、パリ警視庁のガニマール警部の方がひどい扱いになっています。まずガニマール警部が、ルパン及び金髪婦人の起こした複数の事件の解決に乗り出すのですが、自分が容疑者と見込んだ女性が金髪婦人とは別人だと分かって、ギブアップし、代わってホームズの登場となります。その後もガニマール警部は登場するのですが、ホームズの補助的な役割であって、最初、ルパンシリーズの第一作「ルパンの逮捕」で、ルパンを逮捕するという快挙をなし遂げたガニマール警部が、この作品では、脇役になっ... ...続きを見る

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2010/11/04 23:59
フランス文学探訪54 「ルパンのシリーズ」19 「ルパン対ホームズ」1 ホームズファンは歓迎せず?
モーリス・ルブランの「ルパン対ホームズ」は恐らくルパンシリーズの中でももっとも有名な作品であり、多くの人が小さい頃に読んだ記憶があるはずです。今でも少年少女向けの作品の中には、必ずといっていいほどこの作品が含まれています。私も小学生の時にわくわくして読んだ覚えがあります。サンドイッチマンの背中の看板に「ホームズ来たる」という文字が書かれていたこと、ホームズがルパンに捉えられてベッドに手足をくくられたままイギリスに送り帰されたのに、見事に戻ってきてルパンの前に姿を表わすところ、ルパンとホームズ... ...続きを見る

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2010/11/03 23:26
フランス文学探訪53 カミュ「尼僧への鎮魂歌」5 心の闇を持つテンプルに逆に教え諭す死刑囚
 死刑囚のナンシーは悟りきっています。黒人たちと気持ちを通じ合わせて、心は澄んでおり、逆に彼女と最後の別れに来たテンプルの方には救いがなく、どのようにこれから生きていったらいいのかとナンシーに問いかけます。それに対して、ナンシーは信じることが肝心であり、殺人者も許されると言います。テンプルは私を一人にしないでくれとも訴えますが、「あなたは一人ではない」とナンシーは諭すのです。どちらが処刑される人間か分からないような主客が逆転している印象を受けます。  その後、果たして夫のガウワンが現れ、一緒に... ...続きを見る

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2009/09/14 23:30
フランス文学探訪52 カミュ「尼僧への鎮魂歌」4 女主人の子を殺すことによって駆け落ちを阻止
 ナンシーはテンプルの駆け落ちを知ってそれを阻止しようとします。ナンシーは娼館にいて薬漬けになっていたのを、ガウワンとテンプルに救い出され、子供の乳母として雇われていましたが、テンプルは心に傷を持つ身であり、ナンシーも黒人として差別を受けていた人間で、二人は気がよく合っていました。駆け落ちする日の夜、ナンシーは持ち逃げする金や宝石を奪ってそれを止めさせようとしますが、テンプルの意思は変わりません。ナンシーは仕方なく、テンプルが連れて行こうとした生後六カ月の下の子供を殺すことによって、テンプルに駆... ...続きを見る

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2009/09/11 22:23
フランス文学探訪51 カミュ「尼僧への鎮魂歌」3 ストックホルム症候群のようになった女性
 テンプルの告白によって、八年前に起こった事件の深刻さが明らかになります。ガウワンが車の事故を起こし、密輸入業者の家でぐでんぐでんに酔っ払った際、テンプルはその家でポパイという男が人を殺すのを目撃してしまったため、ポパイは彼女を誘拐し、メンフィスの淫売屋に監禁してしまったと言います。  このカミュの戯曲では描かれてはいないのですが、フォークナーの「サンクチュアリ」という作品でこの時のテンプルの受けた傷の大きさが書かれています。ポパイは性的な不能者であるものの、彼女に性的な暴行を加えてしまいます... ...続きを見る

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2009/09/04 00:17
フランス文学探訪50 カミュ「尼僧への鎮魂歌」2 死刑執行が目前に迫った中での夫婦の苦悩
 次の第三場は子供を殺した罪で死刑判決を受けたナンシーの刑が執行される二日前の三月十一日に飛んでおり、事態が切迫した状況です。妻のテンプルが一人ジェファソンに戻ってきており、弁護士のステーヴンスにナンシーの助命嘆願を頼みます。ナンシーは心神喪失した状態で犯行に及んだのだから、彼女に罪はないのだとテンプルは言いますし、何よりナンシーはテンプルの良き話し相手であり、彼女を失うのは何より辛いとテンプルは訴えます。しかし、彼は今更執行をとめるのは難しいと答え、実際、事件の夜に何があったのかと改めてテンプ... ...続きを見る

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2009/09/02 23:29
フランス文学探訪49 カミュ「尼僧への鎮魂歌」1 死刑判決が下されることから始まる戯曲
 「尼僧への鎮魂歌」はカミュの戯曲ですが、ドストエフスキーの「悪霊」をカミュが戯曲として作り直したと同様、彼自身のオリジナルではなく、アメリカの作家のフォークナーが書いた戯曲をもとにしています。フォークナーの原作の方を私は読んでいませんが、高橋正雄著「フォークナーの世界」によると、三幕から成り立つ戯曲のそれぞれの幕の初めに、戯曲の内容とは無関係な長い記録的な文章が書かれており、舞台となっているジェファソンの町の成立過程や歴史が描かれているとのことです。しかし、カミュの戯曲ではその部分は完全に省か... ...続きを見る

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2009/09/01 22:25
フランス文学探訪48 「カリギュラ」2 所詮は神になれなかった暴君の孤独さ
 暴君のカリギュラと、彼に反逆するケレアとは光と影のような存在だと前に言いました。カリギュラは自分に楯突くケレアを敢えて許すために反逆者の名前が書かれた板を燃やしてしまい、おまえの生き方を貫けと諭します。カリギュラは自分の意志に逆らうことを楽しんでいるかのようにケレアを許しますが、彼がそうしたのは、一つにはカリギュラがケレアに親近感を覚えていたからであり、今一つは、そうすることによって自分が神の位置に立つことができると思ったからです。  しかし、結局、これがカリギュラの命取りになり、カリギュ... ...続きを見る

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2009/08/31 23:29
フランス文学探訪47 カミュ「カリギュラ」1 自分だけが自由だと証明するために独裁者になる皇帝
 「カリギュラ」はカミュが書いた戯曲の代表作であり、1938年に作られました。ローマ帝国の暴君を主人公にした作品ですが、独裁をテーマにしているわけではなく、一遍の不条理劇に仕立てているところが、今なお色あせていない点です。人間というものの限界に気づき、敢えてそれを打ち破ろうとカリギュラの苦闘している姿が印象的です。悪あがきといってもよく、そのために彼に肉親を殺されたり財産を奪われたりする人々にとっては災難ですが、当の本人は大真面目です。それだけに、余計に始末が悪いとも言えます。  彼がそうなっ... ...続きを見る

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2009/07/13 23:18
フランス文学探訪46 カミュ「誤解」2 自分の素性を明かさなかったことが問題・「異邦人」との差異
 次の日の朝、不安だったマリアが駆けつけてきますが、時すでに遅しでした。母親はジャンのパスポートを見て殺したのが自分の息子だと知って、絶望のあまり自分も川に飛び込んで自殺します。しかし、マルタはこうなったことで死んだ兄を恨みます。せっかく海の国で幸せを得られるはずだったのが、殺した相手が兄だったという予想外の展開で、御破算になってしまったからです。  最後にマルタとマリアの対決が示されますが、二人の間には交流するということが全くありません。マルタは母親と殺人の罪を共有することによって、母と結び... ...続きを見る

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2009/07/12 22:28
フランス文学探訪45 カミュ「誤解」1 実の母と妹に誤って殺されてしまう皮肉な展開 
 「誤解」は一九四三年に書き始められ、四四年に初演された戯曲です。舞台はヨーロッパのある国の田舎の旅館であり、終始、そこでドラマが展開されます。どことは特定されていませんが、雨がよく降る日陰の土地であり、地平線も見えない場所であることが登場人物の台詞によって明らかにされます。その旅館を経営しているのは母親と娘のマルタですが、彼女たちは旅館に泊まった者たちを殺して金を奪うことで生計を立てていました。彼女たちは海のある明るい国に行って、そこで暮らすことを夢見ていました。  彼女たちの目の前に、うっ... ...続きを見る

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2009/07/10 21:50
フランス文学探訪44 「ルパンのシリーズ」18 「棺桶島」6 ケルト人・ 放射能の効能
 ケルト人の歴史をたどりますと、もともと東ヨーロッパにいた民族でしたが、紀元前1200年にブリテン島、アイルランド、スコットランドに移り住んだ者たちがおり、それぞれブリテン人、ゲール人、スコット人と呼ばれました。紀元前8世紀に東ヨーロッパに初の鉄器文化が生まれ、ハルシュタット文化と呼ばれています。それが第一ケルト文明です。紀元前6、5世紀になると、移り住んだ西ヨーロッパに高度の鉄器文化が生まれ、ラ・テーヌ文化初期と呼ばれました。それが第二ケルト文明です。  5、6世紀にはケルト人はアングロ・サ... ...続きを見る

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2009/07/06 22:27
フランス文学探訪43 「ルパンのシリーズ」17 「棺桶島」5 リグリア人が住みケルト語と関係が深い島
 「広辞苑」によると、ドルメンとはもともとケルト語で卓石のことであり、新石器・青銅器時代における巨石文化の遺した墳墓、数個の支石と一枚の天井石から成ると書かれています。西ヨーロッパを中心に北アフリカ、南アジア、東アジアに分布しているともあります。一方、メンヒルの説明として、地上に自然石または多少加工した一本の石柱を建てたもので、一種の墓標と考えられると書かれており、高さ10メートルに達するものがあり、フランスにもっとも多いともあります。  「棺桶島」には、島の歴史がルパンの口を借りてこういうふ... ...続きを見る

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2009/07/05 22:28
フランス文学探訪42 「ルパンのシリーズ」16 「棺桶島」4  ブルターニュ地方に多い巨石建造物
 ルパンが「棺桶島」に来たのは潜水艇(「水晶栓」に登場します)に乗ってであり、「金三角」の主人公であったベルヴァル大佐(「金三角」では大尉でしたが)を引き連れていました。海に没したマル−もルパンに救われましたし、フランソアの捕らわれ場所もボルスキーに口を割らせて救い出しました。彼は決闘で亡くなったわけではなく、亡くなったのは、悪者のレーノルドの方でした。ボルスキーの最期にしろ、レーノルドにしろ、因果応報的な扱い方をされています。もっとも、何の罪もないのに殺された島の人々は気の毒で救いようのない話... ...続きを見る

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2009/06/24 20:26
フランス文学探訪41 「ルパンのシリーズ」15 「棺桶島」3 「神の石」を守る老僧としてルパン登場
 元夫のボルスキーはベロニックとよりを戻そうと迫りますが、彼女はそれを断固拒否します。彼女の見ている前で、フランソアとレーノルドとの義兄弟同士の決闘が行われますが、同じ姿形、同じ服のため、どちらが勝ったのかよく分かりません。彼女自身、ボルスキーの申し出を断ったため、十字架に架けられます。  万事休止となったわけですが、ここで待ってましたとばかりルパンの登場となります。すでに作品の半分以上は過ぎており、「金三角」と同様、遅い登場です。しかも、最初地下の洞窟で「神の石」を守るドルイド教の老僧として... ...続きを見る

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2009/06/22 21:34
フランス文学探訪40 「ルパンのシリーズ」14 「棺桶島」2 最初は息子と家庭教師の犯行と誤解
 ベロニックは島の女性から「棺桶島」に自分の父親と息子がいると聞いて、はやる心を抑えて島に渡りますが、そこで見たものは自分の息子のフランソアと家庭教師のマル−が父親を始めとして、島の人々を殺す惨劇でした。14年も会っていなかったフランソアが、そういう凶行に及んだことで、ベロニックは衝撃を受け、人がいなくなった島に取り残されます。隠れていた老女三姉妹に出くわしますが、彼女たちも殺されて十字架に架けられてしまいます。  ベロニックの慰めといっては、フランソアが飼っていた犬だけでした。一人恐怖にとら... ...続きを見る

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2009/06/17 21:08
フランス文学探訪39 「ルパンのシリーズ」13 「棺桶島」1 島の言い伝え通りに起こる大量殺人の惨劇
 「棺桶島」の話は「金三角」の事件から2年後の1917年の出来事となっていますから、これも第一次世界大戦中のことです。もっとも、この作品には、「金三角」ほど、戦争の影はあまり見られません。それはひとえに、この作品の舞台が専らブルターニュにあるサレック島という小さな島の中に限定されているからです。この作品でも、ルパンは後半にしか登場せず、正義の味方となって、ヒロインやその息子たちの危機を救います。  その島の言い伝えの通りに、たくさんの島人が殺され、「三十棺桶島」と呼び習わされているのと同じこと... ...続きを見る

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2009/06/15 22:21
フランス文学探訪38 「ルパンのシリーズ」12 「金三角」3 江戸川乱歩の「魔術師」はリメイク
 江戸川乱歩の「魔術師」でも、愛する者同士が部屋に閉じ込められて殺されそうになるという話があり、ルパンから借りてきたことが分かります。なかなか怖い状況設定であり、自分がこういうふうに閉じ込められたらと思うと、寒気がします。むろん、この二人の危機をルパンが救いますが、「棺桶島」でも同じような展開で、ヒロインがいろいろと危ない目に遭って、にっちもさっちもいかない状況になったところに、ルパンが救世主のように現れて助けるということになります。  最後はめでたし、めでたしとなりますが、親子二代にわたる恋... ...続きを見る

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2009/06/13 11:47
フランス文学探訪37 「ルパンのシリーズ」11 「金三角」2 親と同じ状況下で殺されかける恋人たち
 この作品では珍しくルパンは恋をしません。恋はベルヴァル大尉とコラリーに座を譲っています。彼女にはエラレス・ベイという夫がいますが、この夫が悪人であり、略奪同然にして彼女と結婚していました。ベイはトルコ人であり、フランス東洋銀行の頭取ですが、裏の顔がありました。フランスから金をひそかに持ち出し、ある国に流していました。彼の手下たちがブルガリア人であり、ドイツの小王候の密偵と書かれていますから、その国はドイツと思われます。  ところが第一次世界大戦が始まり、金を密輸できなくなり、三億フラン相当の... ...続きを見る

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2009/05/22 20:25
フランス文学探訪36 「ルパンのシリーズ」10 「金三角」1 イタリアを連合国側に引き入れるのに貢献
 ルパンの人生で言えば、「金三角」は「813」と「虎の牙」をつなぐところに位置し 、「813」の事件の後、アフリカのモロッコに渡ったルパンが、一時フランスに戻り、「金三角」の難事件を解決して、また慌ただしくアフリカに戻っていくという展開です。  もっとも、この作品にはルパンはなかなか登場しません。彼が主人公たちの危機を救うのは後半であり、彼の登場を待って、事件が解決に向かって動くということになります。怪盗というより名探偵といった役割を振られているわけで、「棺桶島」をはじめとして、こういう作品は... ...続きを見る

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2009/05/19 21:29
フランス文学探訪35 「ルパンのシリーズ」9 「虎の牙」3 「007」と同様のスーパーマン的活躍
 「虎の牙」で、ルパンは首謀者の仕掛けた罠に陥り、危機を迎えますが、それを見事に撥ねのけ、首謀者を捕まえ、愛する彼女を救い出します。試練を乗り越え、愛する人と結ばれるのは、王子がお姫様とめでたく結ばれる童話のようでもあります。  この作品でもルパンのスーパーマン的な活躍が随所に見られます。それが一番極端な形で現れているのが、アフリカでの彼の活躍です。外人部隊に入っていた時、敵45人に対して、弾を一発ずつ使って倒したり、敵に捕虜として捕まった時、女性たちを抱き込み、刀を折らせ弾を抜かせて、自分が... ...続きを見る

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2009/05/01 23:53
フランス文学探訪34 「ルパンのシリーズ」8 「虎の牙」2 横溝正史の「本陣殺人事件」以上の仕掛け
 複雑な事件の真相をようやくルパンはつかみますが、それは技師の家の爆発予告の寸前であり、しかも彼は自分の家の秘密部屋に閉じ込められて動けなくなっており、絶体絶命の状況にありました。こういう極限状況を演出することにかけては、ルブランは天下一品です。  「虎の牙」のトリックは、横溝正史の「本陣殺人事件」と同種のものであり、横溝はこのミステリーを書くに当たって「虎の牙」にヒントを得ていたのかもしれません。  しかし、この親子殺人事件の真相が分かって終わりではありません。小説はまだ半ばであり、時すで... ...続きを見る

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2009/04/27 21:20
フランス文学探訪33 「ルパンのシリーズ」7 「虎の牙」1 ルパンに疑いのかかる密室殺人
 ルパンの人生から言えば、「奇岩城」「813」「虎の牙」という順序になりますが、それぞれ独立した話で事件は全く別のものながら、ルパンや登場人物の一部はつながっています。もっとも、ルパンのシリーズそのものがすべてつながっていて、互いに齟齬のないように作られています。あら探しをすれば、細かな矛盾点が見つかるかもしれませんが、「源氏物語」でも、詳しく見ていけば、年齢や官職など一致しない点があります。  「虎の牙」は推理小説としてルパン・シリーズの中でも最高の出来ではないかと私は思っています。2億フラ... ...続きを見る

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2009/04/23 22:48
フランス文学探訪32 「ルパンのシリーズ」6 奇岩城2  怪盗が首相に会うという大風呂敷
 この作品には作者である「私」が登場します。「私」の前で、ルパンと高校生名探偵とが対決します。「ルパン対ホームズ」という作品の中で、モンパルナス駅の喫茶店でルパンとホームズが対面する時にも、「私」が立ち合っています。「私」はルパンのよき理解者という設定になっていますし、それだからこそ、彼の数々の冒険を知ることが出来たというもっともらしい説明がなされています。ルパンのデビュー作である「アルセーヌ・ルパンの逮捕」では、ルパンが一人称で語るという方式が採られており、語り手を意識するという点で、作者のル... ...続きを見る

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2009/04/21 21:52
フランス文学探訪31 「ルパンのシリーズ」 5  奇岩城1
 「奇岩城」はルパン物でも特に有名な作品であり、子供向きの本にも載っていますので、今でも子供たちに読まれているのかもしれません。「奇岩城」にはルパンシリーズの特徴がいろいろ現れています。  まずスケールの大きさが挙げられます。この作品全体は「エギュイーユ・クルーズ(空洞の針)」という言葉の謎を巡ってストーリーが展開されていきますが、これが壮大なスケールの話です。代々の王室の財宝を蓄えた秘密の城があって、シーザーもそれを知っており、ジャンヌ・ダルクが処刑されたのもその秘密を知ったからだということ... ...続きを見る

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2009/04/17 23:37
フランス文学探訪30 「アルセーヌ・ルパンのシリーズ」4 ルパンの経歴2 不幸な結婚とホームズの失態
 ルパンの経歴の続きですが、ルパンが最初の結婚をしたのが23歳の時でありね、やがてその結婚は破綻し、彼はロシア娘と駆け落ちします。しかし、その娘はやがて亡くなってしまいます。翌年、彼はレーモンドという女性と二度目の結婚をしますが、それは悲劇で終わります。これについては「奇岩城」という作品に書かれていますが、イギリスの名探偵ヘルロック・ショルメス(シャーロック・ホームズのもじり)に誤ってピストルで撃たれて殺されています。ルパンは数々の恋愛に花を咲かせますが、結婚自体は不幸なものでした。  「81... ...続きを見る

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2009/04/11 20:40
フランス文学探訪29 「アルセーヌ・ルパンのシリーズ」3 ルパンの経歴1 光源氏との類似性
 「813」には副題が付いており、前半が「アルセーヌ・ルパンの二重生活」、後半が「アルセーヌ・ルパンの三つの罪」となっています。その三つの罪の一つは前にも述べたようにルパンの殺人であり、あとの二つは真犯人でない者を死刑にしてしまったこと、及び真犯人をルパンが殺してしまったために、ルパンと同じように真犯人の女性を愛していた男を自殺させてしまったことです。ルパンは真犯人が分かって、前者の無実な男を助けようとルパンは駆けつけますが、時すでに遅しですでに処刑は終わった後でした。後者の男は、以前生活に困っ... ...続きを見る

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2009/04/06 00:04
フランス文学探訪28 「クレーヴの奥方」3  ノストラダムスも予言したアンリ二世の死
 この小説に登場する王のアンリ二世の王妃はカトリーヌと云い、メジチ家の出身でした。夫の死後、この小説で描かれたずっと後のことになりますが、彼女は旧教の僧侶と手を結んで、サン・バルテルミーの虐殺を行い、数千人の新教徒を殺してしまいます。小説の中でシャルトル候が王妃と恋仲であったと書かれていますが、これも事実であるかどうか、私には分かりません。  アンリ二世はヴァランチノア夫人を寵愛していましたし、貴族たちもそのことをよく知っていました。皇太子は後にフランソア二世となる人で、皇太子妃はイギリスから... ...続きを見る

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2009/04/03 20:08
フランス文学探訪27 「クレーヴの奥方」2  夫に他人を恋していることを打ち明ける夫人
 作者のラファイエット夫人の旧姓はマリー・マドレーヌ・ピオシュ・ド・ラ・ヴェルニと言い、生まれたのは1634年です。マリが結婚したのは21歳の時ですが、夫のラファィエット伯は18歳年上で、しかも再婚でした。彼女はラ・ロシュフコーと付き合い始め、親密な仲になりますが、ラ・ロシュフコーも作家であり、「格言集」という作品を書いています。クレーヴ夫人の方は不倫を働きませんでしたが、作者の方はそうではなく、相手と結ばれないプラトニック・ラブをある種の理想として小説に描いたと言えます。  クレーヴ夫人はヌ... ...続きを見る

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2009/03/25 22:31
フランス文学探訪26 「クレーヴの奥方」1 クレーヴ夫人とヌムール公のプラトニックな悲恋物語
 フランス語で読むのは2回目であり、4年ぶりに読み直しました。作者はラファイエット夫人であり、38歳の時に書き始め、6年後に出版されますが、作者名は記されないままでした。しかし、彼女が書いたものであることは、みんなに知られていたようです。  小説自体はアンリ二世の時代を背景にした、クレーヴ夫人とヌムール公の悲恋物語であり、フランス恋愛心理小説の元祖みたいな作品です。最後まで恋に苦しむ姿に痛々しさを覚えますし、「アドルフ」の主人公のような遊びの恋愛などとは全く違います。私も若い頃、この小説を初め... ...続きを見る

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2009/03/22 11:00
フランス文学探訪25 「アルセーヌ・ルパンのシリーズ」 ルパンの殺人2 「813」と「忍びの者」
 ルパンがもう1つ殺人を犯したのは「813」においてであり、ルパンが35歳の時のことです。この作品では、前半と後半に大きな仕掛けが2つこしらえられています。ケッセルバック氏をはじめとする連続殺人事件に絡んで、その容疑者としてルパンが疑われ、ルパンはその汚名をそそごうとして、またケッセルパック氏が掴んだ「813」の秘密の謎を解こうとして動き回ります。  一方、パリ警視庁のやり手の保安課長のルノルマンもルパンを追い、真の犯人を追って捜査を開始します。ルパン、ルノルマン、犯人と三つどもえの戦いが繰り... ...続きを見る

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2009/03/17 22:57
フランス文学探訪24 「アルセーヌ・ルパンのシリーズ」2 ルパンの殺人1
 ルパンシリーズの始まりがルパンの逮捕というのもおかしな話ですが、逮捕されたルパンがいかに刑務所から脱獄するかが作者の腕の見せ所であり、ルブランの冴えが二作目以降、如何なく発揮されるということになります。ドイルの生み出したシャーロック・ホームズの場合も、作者はそのシリーズに途中で嫌気がさして、一度ホームズを滝から落として殺してしまいますが、ホームズ生還を望む読者の声に抗し切れず、巧みに生き返らせています。本当は死んでいなかったと謎解きをするそのやり方が心憎いのですが、普通の作家ならなかなかこうう... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2009/03/14 23:42
フランス文学探訪23 「アルセーヌ・ルパンのシリーズ」1 作者は一話で終わらせるつもりだった
 フランス文学にしてはいささか大衆的で通俗的な怪盗アルセーヌ・ルパンのシリーズについて取り上げたいと思います。四年前の2005年がルパンが登場して百年に当たり、それを記念してルパンを主人公にしたフランス映画が作られましたし、ルパンが6歳の時に盗んだとされる「女王の首飾り」のレプリカが日本でも展示され、話題になりました。  私がフランスの小説に初めて興味を抱いたのは、ルパン物を通じてでした。小学生の時に少年少女向けの本でいくつか読み、中学生や高校生の時には文庫本で代表的なものに目を通し、大学生の... ...続きを見る

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2009/03/10 20:46
フランス文学探訪54 「ナナ」2 ナナの自業自得的な最期・貴族社会の腐敗ぶり
 ナナの両親の姿を描いた小説が、同じ作者のゾラによる「居酒屋」ですが、作者はナナの性的に奔放な性格を、父親の多量の飲酒の遺伝がかかわっているというふうに描いています。そういう遺伝の解釈は、今から見れば、適当とは言えず間違った捉え方ですが、遺伝云々を別にすれば、貧民曾の申し子として、ナナのような女性が生まれたとしても不思議ではありません。  この小説は劇場の表側だけでなく、稽古風景、楽屋や舞台裏の様子なども細かく描きだしている点が光り、臨場感を生み出しています。ナナが女優として復帰するために、ミ... ...続きを見る

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2008/11/16 14:47
フランス文学探訪53 ゾラ「ナナ」1 男達を手玉に取るヒロイン
 原書で何ヶ月かかかって読み直しました。ゾラが1890年に出版した小説ですが、全体が20巻に及ぶ「ルーゴン マカール」なる連作小説の一作です。ナナという女優がヒロインですが、性的に奔放な女性であり、数々の男たちをその魅力によって手玉に取り、破滅させます。銀行家は金を彼女に貢ぎ、そのために破産してしまいますし、ユゴン兄弟の兄のフィリップは金を要求する彼女のために公金を横領しますし、弟はナナの男関係に飽き飽きしてわずか17歳ながら、自殺してしまいます。名門貴族のヴァンドゥーヴルも彼女の愛人となりま... ...続きを見る

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2008/09/07 02:27
フランス文学探訪23 「ペスト」2 人を裁く権利 はないと知ったタルー
 ペストは昔ヨーロッパなどで多くの死者を出した伝染病ですが、今なお世界から根絶されたものとは言えませんし、伝染病の恐怖は今も形を変えて続いており、現代の人々も鳥インフルエンザやサーズなどさまざまな感染症の脅威にさらされています。  カミュの小説「ペスト」では、何万人にも及ぶ犠牲者の数が出ましたし、ピークの時は大きな穴を掘って遺体を次々に投げ込んだという描写がありますから、なんとも惨憺たる状況です。しかし、血清の効果も出て、ベストの流行はようやく下火になり、終息します。  しかし、終息間近にな... ...続きを見る

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2008/04/11 22:43

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