テーマ:フランス文学

京都探訪234 フランス文学探訪74 京大文学部本館・当時の講義・ジイドの新しい小説技法を分析

 写真は京大文学部の中庭及びその奥と横にある本館を5月28日に撮ったものです。大学時代からの友人N君と一緒でしたが、ここで共にフランス文学を学んだN君と訪ねるのは卒業以来初めてです。自分一人では、4月にも来ましたが。私たちが在学していた時は中庭はなく、本館が目の前に建っていましたから、随分様変わりしています。  私が受けた専門の講義と…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

五輪で聴くフランス語・かつてはよく見ていたフランス映画・五輪報道の過熱ぶり

 五輪の時はフランス語でもアナウンスされるので、それを聴くのが楽しみの一つです。私が学生の頃はフランス文学がさかんであり、フランス映画もたくさん入ってきていましたから、フランス語やフランス文化がもっと身近なものとしてありました。男優ではアラン・ドロンとジャン・ポール・ベルモンドが双璧でしたが、私はアラン・ドロンのファンで、当時彼が出演す…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

フランス文学探訪22 カミュ「ペスト」 「カラマーゾフの兄弟」との共通項

 フランス語で「ペスト」を読み直していますが、これで何度目でしょうか。アフリカの町がペストに冒され、多数の死者が出て、その外から閉ざされた町で、人々がペストと戦いながら懸命に生きる姿を描いたフィクションですが、「カラマーゾフの兄弟」のイヴァンが神学生である弟のアリョーシャに述べた意見と同じ意味のことを、「ペスト」の主人公の医師リウーが神…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

フランス文学探訪21 「愛と宿命の泉」2 利己心が招いた悲劇

 かつてユゴランとパペがカムワン家の泉を埋めているところを見ていた村人たちがいましたが、パペに遠慮して黙っていました。閉鎖社会の弊害と言えますが、マノンはそのことを知って、村人たちに復讐します。彼女は洞窟で村の水源を発見し、水源を岩で塞いでしまいます。かつてパペたちにやられたのと同じ方法を使うところが小説的で、「目には目を」といった印象…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

フランス文学探訪20 「愛と宿命の泉」1 実の息子とは知らずに死に追い込んだ父親

 写真は修学旅行のりんどうの花畑の景色です。実際生徒たちの中には、りんどうの花の収穫に従事していた者もいました。都会の高校生にとっては貴重な農業体験でした。  さて、昨日も「華麗なる一族」との関連で取り上げた「愛と宿命の泉」ですが、その作品ではカーネーション栽培でした。結果的には実の息子を死に追い込んだパペですが、そうなったのは彼の悪…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

日本文学探訪 2 「華麗なる一族」2 皮肉な運命

 「華麗なる一族」の小説は今から40年前の時代を描いており、今年のリメイクドラマでも当時の雰囲気を出そうと努力していました。大蔵省の内部の場面は、大阪府庁で撮影されました。  この小説では、親子の相克に銀行の合併問題が絡んできます。大介は阪神銀行の合併を狙っていました。自分より経営規模の大きな銀行と一緒になることによって、小が大を食う…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

フランス文学20 「生きながら火に焼かれて」2

 スアドはヨーロッパの町で第二の人生を送ります。火あぶりにあった時、身ごもっていた子は奇跡的に生まれますが、やがて養子に出します。彼女自身はアントニオという男性と結婚し子供を2人生むのですが、幸せな状態ばかりではありませんでした。火あぶりになったことが深いトラウマになり、うつ状態が長く続きます。こういう体験に遭った者でないと、どれだけ心…
トラックバック:1
コメント:0

続きを読むread more

フランス文学探訪19 スアド「生きながら火に焼かれて」1

 これはフランス文学ではなく、ジャンルも小説ではなくドキュメンタリーですが、フランスで出版された書物なので取り上げました。題からして衝撃的ですが、中東のシスヨルダンで生まれた少女が家族によって火あぶりにされる話です。この本を書いているのはスアドという仮名の人ですが、未婚のまま男と関係を持ち妊娠してしまったため、家の不名誉になるというので…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

フランス文学探訪18 ユルスナール「東方綺譚」の「源氏の君の最後の恋」2

  昨日の写真の女性版であり、十二単(ひとえ)姿です。  花散里は二ヵ月後、国司の妻に扮して輿に乗り、一晩泊めてほしいと申し出、源氏は快く応じますが、この時はすでに源氏は完全に目が見えなくなっていました。いくら盲人とは言え、女性を泊めること自体、源氏が世捨人にはなっていない証拠だと言えますが、花散里は源氏の関心を引こうとして、源氏の愛…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

フランス文学探訪17 ユルスナール「東方綺譚」の「源氏の君の最後の恋」1

   写真は5月に京都の風俗博物館で撮ったもので、平安朝の貴族の部屋が再現され、当時の服装をした等身大の男女の人形が置かれていました。また「源氏物語」の一場面もミニチュアで作られていました。  ユルスナールは「東方綺譚」の中で光源氏を主人公とした小説も書いているのですから驚きです。むろん、「源氏物語」とは別の作品に仕立てているのですが…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

フランス文学探訪16 「東方綺譚」の「死者の乳」3 「杜子春」でも「春のワルツ」でも見られる母の慈愛

 「死者の乳」は無常観も漂っている話です。写真は梅小路蒸気機関車館で撮ったものであり、今はSLなどと一部でもてはやされていますが、やがては過去の遺物になってしまうことは確実であり、そういう意味で無常観を感じさせます。蒸気機関車はわれわれの世代や上の世代の者にとってはノスタルジアを誘われる乗り物ですが、乗ったことのない人にとっては愛着を持…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

フランス文学探訪15 ユルスナール「東方綺譚」の「死者の乳」2

 写真はこの小説とは直接関係はありませんが、別名「宝石の塔」と言われているカナリア諸島原産のエキウム・ウィルドプレッティーという花です。この6月に京都府立植物園で撮影しました。  さて、「死者の乳」の話の続きです。翌日、食事を運ぶのは次男の妻の番でしたが、兄嫁のところに行き、自分は洗濯をしなければならないから代わってくれと頼みます。長…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

フランス文学探訪14 ユスルナール「東方綺譚」の「死者の乳」1

  これも「マルコの微笑」と同様、会話体の作品で、やはり船旅を続ける技師が、イギリス人に語る話であり、アルバニアの伝説の女性の話です。参考のため、アルバニアの位置を地図で示しておきました。アルバニアは昔は古代ローマ帝国の支配を受けましたが、14世紀からはオスマン・トルコの支配を受けました。15世紀にスカンデルベクという英雄が出て、25年…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

フランス文学探訪13 ユルスナール「東方綺譚」の「マルコの微笑」2

   セルビア付近の地図を参考のため載せました。  つかまったマルコは死んだふりをしますが、体は硬直化し、心臓の鼓動も聞き取れないほどの徹底ぶりでした。それはまるで「ロメオとジュリエット」のジュリエットが飲んだ薬で一時死んだ状態になったのと同じですが、ジュリエットは薬に頼ったのに対して、マルコは自分の意志でそうできたのであり、彼の超…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

フランス文学探訪12 ユルスナール「東方綺譚」の「マルコの微笑」1

 14世紀にセルビアで活躍した英雄マルコが主人公の話ですが、私は寡聞にしてそういう人の存在を知りませんでした。彼はセルビアの王子であり、クラリェヴィッチ・マルコという名前でした。ドウシャン大帝の死後、セルビアは分裂し、オスマン・トルコが攻めてきます。1389年のコソボの戦いでセルビアは敗れ、トルコが支配します。しかし、セルビア人たちは独…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

フランス文学探訪11 「東方綺譚」の「老絵師の行方」4 絵や物語などに入ってゆく話

 江戸川乱歩の作品に「押絵と旅する男」というものがありますが、人間が絵の中に入ってゆくという点で、「老絵師の行方」と共通しています。絵の中の女に惚れた男が、自分も絵の中に入っていく話ですが、その方法がふるっています。遠眼鏡をさかさまに覗くことによってであり、それはありえないことなのですが、この話自身がそもそも非現実的なのです。絵の中の女…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

フランス文学探訪10 「東方綺譚」の「老絵師の行方」3  果心居士について

 果心居士を扱った作品として、小泉八雲の「果心居士のはなし」と司馬遼太郎の「果心居士の幻術」がありますが、内容も全く違いますし、関わる武将もずれています。前者は信長と光秀です。仏画を見せて仏の道を説いていた果心居士の地獄絵が真に迫っており、評判を取っていたため、信長がその絵を譲ってほしいと頼んだところ、黄金百枚ならと答えたので、信長はう…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

フランス文学探訪9 「東方綺譚」の「老絵師の行方」2 

 絵師の汪佛と弟子の玲は突然、天子の元に連れてゆかれます。どのような罪があるのかと問う彼らに対して、天子は自分は父が愛好した汪佛の絵で育ったため、世の中は絵のように美しいものだと思ってきたが、実際はそのようなものではなく、おまえの絵に騙されたと汪佛を責めるのです。そしてその罰として、おまえの目を焼き手を切ると言います。  この話は現代…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

フランス文学探訪8 ユルスナール「東方綺譚」の「老絵師の行方」1

 「東方綺譚」は白水社のUブックスに入っている作品です。39年に初版されていますが、76年に改訂された際、ユルスナールはかなり文章を直しており、作品の数も10編が9編になっていますが、むろん、今読めるのは改訂版の方です。  「老絵師の行方」は中国の漢の時代の話であり、短編集の最高傑作と言っていいほどです。老画家汪佛と弟子の玲の話ですが…
トラックバック:1
コメント:0

続きを読むread more

フランス文学探訪7 須賀敦子「ユルスナールの靴」

 フランスの女性作家ユルスナールの作品を取り上げますが、その手がかりとしてまずは須賀敦子の著書「ユルスナ-ルの靴」に触れたいと思います。作家ユルスナールのたどった跡を著者が訪ねるというものですが、ユルスナールの人生をたどりながら、著者自身の作家に寄せる思いや自身の体験談も交え、全体が評論というより、独自の味わいのある名エッセイと言え、須…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

フランス文学5 「赤と黒」3 神学校における主人公

 神学校の実態をジュリアンは知ることになりますが、当時の地方の神学校の実情を反映しているのかどうかは私にはよく分かりません。ほとんどが農民出身であり、無知な者が多く、ラテン語の意味もわからず暗誦して、食べることだけできればいいと考えている連中ばかりだと言うのです。良い成績を取ることを罪悪と考え、そのため勉強のできるジュリアンは一時期みん…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

フランス文学4 「赤と黒」2 ジュリアンとレナール夫人の恋

 レナール氏は大製釘工場でもうけて、ヴェリエールの町長になった成り上がり者ですが、工場主であることを恥じています。もとはスペイン系の旧家であり、金以外のものをほしがるのは、今の金持ちでも名誉や勲章を求めるのと同じかもしれません。レナール氏はジュリアンの評判を聞きつけて、自分の息子の家庭教師にします。世間体や体裁を重んじている証拠であり、…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

フランス文学3 スタンダール「赤と黒」 ラテン語の新約聖書一冊を丸暗記した主人公

 フランス文学の名作であり、最初は大学時代に翻訳本で読みました。今回は三回目ぐらいで週末に少しずつフランス語で読んでおり、三ヶ月ほどかかってようやく前半を終わり、第二部に入っています。  主人公ジュリアン・ソレルと前半はレナール夫人、後半はマチルドとの起伏に富んだ恋の感情がスリリングに描かれていますが、最初読んだ時は、一瞬一瞬変化して…
トラックバック:1
コメント:0

続きを読むread more

フランス文学2 アニー・エルノー「シンプルな情熱」

 ハヤカワepi文庫に収録されている作品であり、多分に私小説な作品です。というより、この作家の作品全体が私小説の色合いが濃く、自分の体験をそのまま述べたり、父母の半生を描いたりしており、フランス文学では珍しいタイプの作家だと言えます。日本では田山花袋の「蒲団」以来、私小説の伝統が脈々と受け継がれており、たとえば今でも在日の作家ながら柳美…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more