漫画探訪9 手塚治虫作品における演劇の影響について

 手塚治虫は小さい頃から宝塚歌劇をよく見ていました。彼が生まれたのは豊中ですが、育ったのは宝塚であり、彼の家の隣りは宝塚歌劇団のスターの家ということもあって、歌劇とは縁が深かったのです。
 彼の作品には、同じキャラクターがたびたび登場します。ヒゲオヤジ、ロック、ハムエッグ、下田警部(しばしば下駄の顔になります)、ランプ(頭の後ろにろうそくを立てています)、大きな鼻の持ち主(お茶の水博士もその一人です)、ヒョウタンツギ(突然、何の脈絡もなく、画面の隅に描かれます)などいろいろありますし、ベレー帽をかぶった手塚治虫自身もよく登場します。これはほとんどが脇役ですが、主人公でも、「ブラックジャック」の中に、ギャグ的にではありますが、鉄腕アトムが登場したこともありました。
 こういう違った作品に登場する脇役のキャラクターたちは、手塚治虫劇団の劇団員だと考える見方がありますが、私もそれに賛成です。ある時は、「鉄腕アトム」という劇に、ヒゲオヤジもランプも劇団員として登場し、またある時は「ブラックジャック」という劇に出演しているというわけです。手塚治虫漫画全体がさまざまな劇になっているわけで、そこに宝塚の影響が現れています。
 宝塚歌劇の影響がもっともよく現れた作品は、「リボンの騎士」です。サファイアという女性が剣士となって大活躍します。それは池田理代子が描いた漫画「ベルサイユのばら」のオスカルへとつながる系譜かもしれません。
 手塚治虫劇団の脇役陣のうち、ランプやハムエッグ、ロックは悪者として登場することが多いのですが、最後に改心する時もあり、いつも悪役とは限りません。ヒゲオヤジは私立探偵として登場することが大半です。
 むろん、脇役を固定化しておいた方が、新たな脇役を考えずに済むという点で楽という面もあるでしょうが、それよりやはり脇役たちの存在が劇団員的だと考えた方がよいと言えます。

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