漫画探訪15 手塚治虫作品とディズニー作品の共通点・相違点2 

 手塚治虫作品も、ディズニー作品と同様、子供たちに夢と希望を与えてきました。しかし、全面的な明るさではありません。手塚も人魚姫を主人公にした「エンゼルの丘」という作品を書いていますが、そのラストは悲劇的です。彼女らのすみかであるエンゼル島が噴火と共に沈む際、彼女も島と運命を共にします。彼女らがどこかで生きているのを信じるという台詞が最後に入っており、余韻ある終わり方になっいるとは言え、ハッピーエンドとは随分違います。
 同じく人魚を扱った「海のトリトン」という作品もありますが、主人公のトリトンはポセイドンと戦って死に、その跡を息子が継ぎます。彼らの住む島はやはり沈みますが、巨大な亀ガノモスが自分のすみかとして提供します。こういうふうに影を伴った終わり方が、手塚作品にはしばしば見られます。
 「ジャングル大帝」でも、主人公のレオは山で遭難した時、人間のヒゲオヤジに自分の皮をまとって寒さをしのいでほしいと言い残して死んでしまいます。実際、ヒゲオヤジはその皮で助かりますが、それに比べて「ライオンキング」のラストでは、悪者はやっつけられて、主人公は平和で幸せな生活を手に入れています。
 アニメ版「鉄腕アトム」でも、地球に向かってくる星にアトム自身がミサイルを抱えてぶつかってゆき、壮絶な最期を遂げています。地球を救うために彼自身が買って出たことなのですが、自己犠牲の精神が手塚作品の主人公には見られ、陰影深い作品に仕上がっています。
 手塚治虫の人間に対する認識には深いものがありますが、それは以前に触れた彼の戦争体験があずかって大きいと思われます。人間の光の部分も闇の部分も共に見据えているからこそ、手塚治虫は自分の作品を安易なハッピーエンドに終わらせないようにしているのではないでしょうか。その点がディズニー作品と決定的に違います。
゛詩瀬付箋のもせの種子戦功の兎

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック