韓国ドラマ探訪73 「魔王」3 本当のターゲットをじわじわと苦しめる卑劣な手段

 日本版の「魔王」の方が、最初から魔王である弁護士の復讐劇ということを明らかにしており、展開もスピーディーで、早くも2回目で第2の殺人が起こります。その被害者は'刑事(韓国版ではカン・オス)の友人であり、クマのぬいぐみやタロットカードが入った宅配便が届いたと、刑事に携帯電話で告げ、その友人が第2のターゲットであると知った刑事が現場に駆けつけると、すでに犯行は行われ、被害者は虫の息という筋書きですが、それは韓国版でも日本版でも同じです。
 もっとも、日本版ではその前に、自分の父親がターゲットになっているのではないかと刑事は思い、慌てて父親を外出させないようにするなどして、もしかして父親が殺されるのではというスリリングな展開を盛り込んで、韓国版にはない要素を加えています。
 それにしても、オ・スンハ弁護士の復讐劇は手が込んでいます。直接のターゲットは、かつで12年前に自分の兄を殺したカン・オス刑事ですが、彼の周囲の人物を標的にして、彼をじわじわと苦しませるという卑劣なやり方でした。もっとも、12年前はカン・オスの方が卑劣な人間でした。オ・スンハの兄は、カン・オスたち四人のグループがヨンチョルという人物をいじめているのを知って、それを止めさせようとカンオスに挑みますが、隠し持っていたナイフをカン・オスに奪われ、刺されて死んでしまいます。傷害致死か殺人罪に当たる罪ですが、クォン弁護士は正当防衛を主張し、記者ジョンビョもその線に沿った記事を書き、なおかつカンオスの父親が政治力を利用して、事件をもみ消してしまいます。その時のクォン弁護士が12年後に第一のターゲットになって殺され、カン・オスの友達が第二のターゲットになりますが、本当のターゲットはカン・オスにあることを魔王はターロットカードやメッセージなどを本人に送ることによって示します。
 確かに魔王のしていることは悪魔的であり、自分の手は汚さず人を巧みに操ることによって殺人を犯すことは許されることではありませんが、12年前の殺人事件の組織的な隠蔽工作は公にしなければなりませんし、魔王の存在意義があるとするなら、その事実を明らかにするという点だけです。もっとも、正義の名の下に断罪しようとして、自人の運命を自由に弄ぶことなど、神的、悪魔的な存在になってしまっていることの証しであり、不遜な態度です。死んだ兄も弟が魔王になることは望んでいなかったでしょう。もっとも、魔王ということで言えば、カン・オス刑事もかつては暴力的な集団のリーダーであり、殺人まで犯したわけですから、魔王的な人物だったのであり、その罪の意識が今も消えることはありません。人間の心に潜む悪魔的な部分を描き、そしてその表裏一体的な要素を持つ正義についても考察を加えているのが、このドラマなのかもしれません。

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