映画探訪21 「地雷火組」3 倒幕のためではなく、平和のために爆薬を使おうとする一団

 50年前に製作された時代劇「地雷火組」の題名は、爆薬開発に携わっている集団の名から来ており、黒川弥太郎扮する森下大蔵が長という設定でした。森下たちは京都の北山で爆薬実験を繰り返して、技術を改良していました。森下は言わばダイナマイトを発明したノーベルのような人物であり、爆薬の開発を平和のために使おうと考えていました。ノーベルはダイナマイトが兵器として使われることを悲しみ、人類の発展のために自分の遺産を使ってほしいという遺言を残し、その遺言に従ってノーベル賞が設けられました。
 ところが、森下の弟子である、伏見仙太郎扮する氷川新三郎は、その爆薬を倒幕のために使おうと、師匠の意見にも耳を傾けずに、勤王の志士に会いに行きます。それを知った桂小五郎は森下のもとを訪ね、爆薬をもって幕府を倒す意義を森下に説き、協力を促しますが、人を殺す道具には使えないと断ります。桂小五郎は森下を必死に説得しようとしますが、森下の考えを最終的に理解し、幕府を倒し新しい世の中になれば、森下を迎えに来ると言います。桂小五郎もまた爆薬を殺人兵器にする非を悟ります。
 しかし、ここで急進派の佐橋与四郎もまた森下のもとを訪ね、爆薬をこちらに譲らなければ斬るとまで言い出しますが、森下は頑として応じません。この佐橋の考え方は手段によらず倒幕を目指す薩摩藩・長州藩に共通するものだったと云えます。しかし、そこに爆薬を幕府を守るために使おうとする新撰組がやって来、桂小五郎たちとの壮絶な戦いが繰り広げられます。新撰組に爆薬を奪われそうになった森下は爆薬の導火線に火を付け、小屋ごと大爆発させます。さすがの新撰組もそれで逃げてゆきますが、爆発の後、戻ってこないのが不思議です。なにしろ、桂小五郎たちお尋ね者がまだ残っているのですから。もっとも、夜明けの美しい景色を桂小五郎や森下たちが新しい世が来たように感慨深げに眺める場面が最後に用意され、ハッピーエンドになっています。勤王の志士が正義の味方という捉え方です。
 この映画には、桂小五郎に理解を示す、品川隆二演じるスリが登場しますが、品川隆二と云えば、コミカルな焼津の半次という役柄が好評だった「素浪人 月影兵庫」(主人公を演じていたのは、この「地雷火組」では佐橋与四郎役の近衛十四郎でした)が挙げられます。スリ集団ははじめ品川隆二を非難しますが、勤王派と佐幕派の対立が激化するに及んで、どちら側に就くか、スリたちの会議で多数決を取ります。多数決で決めるあたりもいかにも現代風な描き方ですが、徳川幕府が政権を豊臣家から簒奪した旨の台詞がスリたちの口から飛び出しますから、スリたちも立派に幕府批判をしていることになります。勤王派に味方するスリ集団の存在は荒唐無稽過ぎるかもしれませんが、映画全体に広がりを与えているのは事実です。スリ集団も最後は北山の森下のもとに押しかけ、桂小五郎などの勤王派の味方をして、新撰組との戦いに加わり、大きな助勢となります。

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