美術探訪5 「海北友松展」7 「建仁寺大方丈障壁画」2 「雲龍図」 講演会の解説

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 写真は「海北友松」展の図録の表紙を撮ったものです。描かれているのは、建仁寺大方丈の「雲龍図」(二頭のうちの一頭)です。間近で見ると、一層重々しい存在感があり、神聖さも感じられます。
「雲龍図」について、嵯峨美大で開かれた講演会「海北友松の絵画を解析する」の中で、友松に限らず絵師は、中国の「本草綱目」の記載に従って、龍の部分、パーツを描くことが一般的であるとの佐々木正子嵯峨美大教授の説明があり、それぞれの部分について、坂本英房京都市動物園副館長の動物学的見地からの話も含めて解説されていました。
 龍の角は鹿をイメージされて描かれており、まっすぐ伸びていますが、このことについて、坂本氏は実際の鹿の角は1年目は枝分かれせず、真っ直ぐ伸びていること、角は毎年生え替わり、角があるのはオスだけだと解説されていました。また鹿、キリン、牛、ブロンクホーン、サイの5種類の角が比較されていましたが、友松の龍の角は下がっているものがあり(北野天満宮の「雲龍図屏風」がそうです)、その点は鹿より牛の角を連想させると指摘されていました。
 龍の耳は牛の耳になっており、坂本氏の解説では、牛の耳は動いて集音器の役割を果たしていて、牛は聴覚がいいと指摘されていました。
 龍の3本の手は、鷹の爪になっており、坂本氏の解説によれば、実際は爪は4本であるものの、止まっている時は爪は3本に見えること、4本の爪で捕まれたときには、すぐには外せないほど(鷹自身も外せないといいます)強烈な力を持っているということです。
 龍のひげはナマズのひげになっていますが、ナマズは地震を感じる点で優秀さを表しているのではないかと述べられていました。
 龍の眉は老人、鼻も人間の姿で表し、両方合わせて知性を表していると佐々木氏の説明があり、歯は上も下も二枚の門歯になっていることを坂本氏が指摘されていました。龍の頭はラクダになっており、ヒトコブラクダとフタコブラクダの二種類があるが、生息地が違っているという坂本氏の説明もありました。
 建仁寺の「雲龍図」について、図録の解説には、「暗雲垂れ込める天空にうごめく二頭の巨龍の姿が捉えられており、一頭は口を大きく開けて激しく身をうねらせ、もう一頭は雲間にゆったりと身を横たえてこちらを凝視する」と記されています。図録の表紙絵は後者の方の龍です。
 また図録には、「神獣としての不気味さは牧谿(南宋時代の画僧)の手になる『雲龍図』(大徳寺)から学んだ可能性が高い。とくにある種の知性や感情すら持ち合わせているかのごとき独特の面貌は、牧谿画学習なくしてはありえなかったであろう」と指摘されています。

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