フランス文学探訪102  フローベル「ボヴァリ-夫人」3  結婚生活に失望・男と女の意識のずれ 

 ヒロインのエンマが結婚生活に失望するまで時間はかかりませんでした。夫はなんでも知っており、情熱の力や生活の技巧など、いろいろと教えてくれる存在だと彼女は信じていたのに、夫のシャルルはそういう理想とは全く違う人物だったからです。話は平凡だし、演劇にも行かず、剣も銃も扱えず、馬術も水泳もできず、がっかりさせられてばかりでした。しかし、シャルルの方は、美貌の妻を得て、大満足していたのです。幸福な夫の姿を見て、エンマは余計彼のことが恨めしくなります。
 このシャルルのような夫は極端としても、男と女の意識のずれが、この小説にはよく描かれているように思います。現代の日本の夫婦においても、夫は結婚生活に満足している者が多いのに反して、逆に妻の方は満足していない者が多いと言われています。生まれ変わっても、同じ相手と結婚したいかといった問いに対して、夫の方はイエスと答える者が多かったのに対して、妻がイエスと答えたのは極端に少なかったという統計もあります。
(2004年08月16日  公開)

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